劇団キンダースペース第32回公演
シアターX提携公演


新・牡丹灯籠

原作三遊亭圓朝
構成・脚本・演出原田一樹

あらすじ

「牡丹灯篭」は三つの話が情念の意図のように絡み合って進む物語である。

 一つはいわずと知れたお露・新三郎。恋に狂って死んだお露とお露に自らの生を重ねようとするお米、二人ながら霊魂となって新三郎を求め、これを知りながら死へと傾斜していく新三郎の物語。


二つ目はお国・源次郎。お露がその父飯島平左衛門に勘当同然にされたのをいいことに、その家督を狙う計略を立てるが露見し、思わぬ平左衛門殺しの罪と深手を負ったお国と源次郎、逃避行を重ねる内に、この二人の愛と執着は異様に変遷していく。


 三つ目はお峰・伴蔵。亡霊であるお露と取引をし、魔封じのお札をはがすのと引き換えに、つまり、主人と仕える新三郎の命と引き換えに百両という金を得、これを元手に金物屋を開きお大尽となるお峰・伴蔵の夫婦。金持ちとなった伴蔵の最近の置屋通いの浮気相手が、源次郎のために働くお国と知ったお峰の、伴蔵への愛憎のつらあてと、それを知った伴蔵のお峰殺し。

 これらの三つの話が絡み合い進んでいく中で、キンダースペース版「新・牡丹灯籠」は、ある登場人物の「とはずがたりの物語り」として再編される。