劇団キンダースペース第33回公演
シアターX提携公演


キンダースペース版

夜叉

原作尾崎紅葉
構成・脚本・演出原田一樹

「金色夜叉」という物語が明治期に、

文壇ではなく圧倒的な数の一般読者に刺激的であったのは、

財閥富山の求婚に心が振れたお宮と、

その変心に衝撃を受けた貫一が、逃げもひきこもりもせず、

「金貸し」という、

いわば人間の最も赤裸々な部分と密に絡まり合う職業を選んだことにある。

人はどのように自らの人生を選ぶのか? 

それ以前に「選ぶ」ということはどのように可能なのか? 

むしろその喪失こそが宮と貫一を生きさせたのではないのだろうか。

そしてこの逆説はおそらく、今の我々の人生の根幹に澱んでいる。

原田一樹  




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