劇団キンダースペース創立30周年記念公演第一弾

劇団キンダースペース第36回公演
原作/トルストイ 構成・脚本・演出原田一樹
新「復活」
ネフリュードフとカチューシャ

大正二年、教え子であり女優の松井須磨子との仲が抜き差しならないものになっていた島村抱月は、恩師、逍遥に背き、新劇を学究・研修の対象から、興業として自立する公演に育てる、との志しのもと、賛同する仲間たちと芸術座を創立しました。しかし経済的な困窮は迫り、文字通り、第三回公演、トルストイ原作の「復活」を集団と自らの命運をかけ上演したのです。これを当時の大衆は圧倒的に支持しました。何がそれほど日本人の心情をうったのでしょうか。この公演で成功を収めた芸術座は、わずかその四年後、抱月の病死と、須磨子の自殺で幕を閉じます。私たちの「復活」は、もちろん、当時の上演を再現しようとするものではありません。ただ、日本人にとっての近代、その底にある混迷に光を当てようとするものです。

構成・演出 原田一樹


トルストイの理想は「いま」の我々に何を訴えるか。「牡丹灯篭」「金色夜叉」で、明治にはじまり今も続く近代日本人の心情の内奥を舞台化してきたキンダースペースが、原田一樹の脚色・演出で、大正と平成を並列しつつ、日本人の被害者意識と加害者意識を問いかけます。

劇団キンダースペース 制作部