劇団キンダースペース 創立30周年記念公演第六弾
フェードル〜あるいは崩れゆく人々〜

「フェードル」は、エウリピデスからソフォクレス、セネカを経てラシーヌによって高められた悲劇の名作です。

恋愛の情念を描きながら、人々の今の時間にとどまらず、怪物が襲い掛かり神々が姿を見せる神話的世界にまで飛翔します。

しかし何よりもこの物語は「言葉」の悲劇なのだと考えています。

一度口にしてしまった言葉は、取り戻すことはできない。

私たちの生は、言葉によって縛られているのです。

構成・脚本・演出 原田一樹


ラシーヌの「フェードル」に描かれているものは、母であり同時に女であるフェードルの欲望と、そのために引き起こされる因習の崩壊、血族の崩壊の悲劇です。
17世紀に書かれた悲劇の最高傑作として評価もされていますが、きわめて現代的なテーマを持っており、同時に古典としての抽象性、様式性も備えています。
これを、飾りこまれたいわゆる近代劇的なリアリズムの舞台ではなく、シンプルな空間で上演します。
ラシーヌが素材としたギリシャ悲劇のスタイルも取り入れ、裁く者の立場として女たちのコロス、そして現代に生きる男女をも絡め、劇団キンダースペース特有の構成舞台として確立します。
キンダースペースは新劇のリアリズム演劇を継承し、深めて行きたいという意図のもとに活動を続け、30周年を迎えました。その経験の上に立ち古典劇の新しい形態を意図する企画です。
劇団キンダースペースの「フェードル」是非ご覧ください。

劇団キンダースペース 制作部