魅了される完成度の高さ 劇団キンダースペースの芝居を観て、いつも感じるのが完成度の高さだ。ギリシャ悲劇やチェーホフなどの古典と真摯に対峙し、一貫して現代リアリズム演劇の新たな可能性を追求してきたこと自体、よほど作品の完成度に自信があるのだろう。そうでなければ、リスクの高い古典に挑戦し続けにくいはずだ。そして、心を込めた芝居を提供しようとの熱き思いが劇団員全員にあるからに違いない。 前回本公演のイプセンの「野鴨」も、原作の魅力を最大限に引き出す原田一樹の緻密な構成と演出、出演陣の情感溢れる確かな演技力の総合力で、小劇場演劇の醍醐味ともいえる、演じる側と観る側の「小空間の共有」を堪能させてもらった。 今回の「ロスメルスホルム」「幽霊」では、イプセンの世界をどう現在に照射してくれるのか、楽しみでならない。 |
演劇ジャーナリスト 夏井弘之 |