◆うさぎさんブログより

劇団キンダースペース 短編演劇アンソロジー 芥川龍之介編を観て参りました。
構成・演出は原田一樹氏。
ここにもよくきてくれるけさくさんが看板を背負う劇団です。

芥川龍之介の短編7作品を、原田氏の構成、演出で。
万華鏡の柄がかちっと変わるように
次から次へと作品が変わっていき、
おおよそ2時間という時間があっという間に経っていきました。

今回はアトリエ公演。
何度かワークショップに参加させていただいたり、忘年会のお邪魔したりしているけいこ場が、
すっかりと芥川の世界を表現する空間になっており、
客席と舞台は手を伸ばせば触れられるほどの距離でありましたので
息遣いや、汗や、顔の表情がよく見え、
それはぜいたくな時間でした。

昨年辺りから若手が続々と入団し、
その若手がフューチャーされていたこの作品。
私が言うのはおこがましいですが、彼らが存分にいかされ、
彼らが存分に答え、輝いていた舞台のように思います。

けさくさんは「薮の中」の真砂。
きれいというか、怖いというか、妖艶というか、業というか
そういう様々な感情が、次々に表情に表れてぞくぞくいたしました。



◆ななこさんブログより

キンダースペースさんの「架空線の火花」観劇
稽古より格段に面白くなってました
さすがっ
私は稽古中の、あの何ともいえない不安と緊張が漂っていた
舞台空間も好きなんですけど♪ 
熟成された渋みのきいた本番もまた良し 
生き物ですね 


羅生門」

語っていたのは誰なのか


ということを考えてしまうのです 

老婆が語る下人の心うちは
老婆が語ったのか、下人の見透かされてるという不安が聞いた幻なのか… 

一瞬、老婆と下人の間に暗黙の同意が見え 

共存するかと思いきや 

結局は力の論理で帰結する

その流れにゾクっとしました

さらにラストで 

下人の行方は誰も知らないと 

突き放される

困惑する… 
混迷ではないけど 


大義名分を手に入れても、罪は罪だ 

罪を背負って生きていくには 
自分で自分を縛るルールを求め 
折り合いをつけていかなきゃならないんじゃないかな 

いつか崩れる 
そんな予感 


「疑惑」 

彼は何を見ていたのか

人は誰しも
後ろぐらいものを
心にもつ 

その刹那に何を思ったか
何をしたか 
はっきりとは覚えていられないだろう 

後ろぐらい気持ちと 
不確かさ故の不安が
自分自身を追い込んでいく様が
怖かった


誰かに
殺したんだと言われても
殺してないと言われても
心はどうしようもならない

自分ひとり、抱え続けなきゃならない

玄道さんは幽霊?

死んでもなお
楽にはならないなんて… 

こわい 


「龍」 

原作は黒龍だけだったのが 
4つの異なる龍が見えたらしく 

ひとつの大きな流れがあった、かつての時代と
細かな思いが散文している今との違い?

叔母上の最後の問いかけに

叔母上の見たままの姿」 

と答えた恵印 

ここに 
作品を作る側の諦観とも言える姿勢と
受け取る側の不安が見えたりもする

この答えに 

叔母上がより不安になるのか、 

納得し安心するのか… 

私は 

思うがままに

生きるのは難しく感じるから

より不安をあおられるのです 

…納得したくないだけか? 

恵印は何を見たのだろう 
すごく考えてしまうよ 


「春の夜」 

つけ加えられた 

「それが何か」 

というセリフに、実は違和感があったんだけど

話を聞く男の方が芥川さん

と思いこんでいたからかもしれないと 

今日見て思った 

Nさんが実は芥川さんで 

男が芥川さんに見えて受け手なのかも 

などと思う

はいはい 

そう来た、そう来た

やっぱりそうでしょ 

なんて、ほくそ笑んでいると 

ラスト、突き放される 

もう、いけず(笑) 

という気持ちです 


藪の中」 


稽古と一番、様相が違って見えました


夫婦間、相互に愛が見えたからかな?

愛の反対は憎しみではなく無関心
といったのは、マザーテレサ

愛と憎しみは
時に一緒に
時に交互に表れる
心に共存してる 

その揺れ動きが
嘘もつかせるのかもね

そう思いたいという希望と
そう思わせてくれという懇願にも 
見える 

今日は真砂だけが
本当のことを言っているように見えた

でも刺してはいないと思うが 

思いたいのかな? 

ラストでは、
あの世で本当の夫婦にという願いすら感じてしまったし

なぜか切なくなりました 

そして 
事を起こしておいて
夫婦の姿に恐れをなし 
「こけつまろびつ逃げ出した」
たじょうまるに

けっ!ほざいてな 

などと 
ついつい心の中で悪態をついてしまう私です

今の科学捜査ならば犯人はすぐにわかっちゃうかもね。

でも、人心は意外と変わらないものだから
科学をもってしても
藪の中かもしれなくて… 
科学を過信してしまいがちだし 
そういう冷たい怖さが 
今の時代にはあるのかも 

「尾生の信」 

何か不思議 
ずっと不思議 

片隅に芥川さんがいるような 

あちこち浮遊しているような 

そんな舞台でした 

いろいろな自己を吐き出し吐き出し 
死を淡々と見送り 
静かに終わる 

その静謐な面の下には 
何がひそんでいたんだろう 

本当に面白くなればなるほど
わからなくなる 

落ち着きどころがなくて
そわそわしちゃう

そんな終わりでした
うまく、まとまりません 
暇見て 
また読もう 
芥川さん