■満席でした。
ホームグラウンドのアトリエという、充実した創作条件(たぶん)らしく、成熟した創作でした。
地の利、というか知り尽くしたアトリエならではの自由度が、美術や照明、空間使いのお洒落さや繊細さをひきだしていたのではないかと思います。
ま、そのìホームîの割には、ホスト・ホステスさんの俳優さんが、初日ってこともあってか、やや張りつめていた気がしたのですけれど、逆に観客に対しての誠実さにも感じられました。
さて、なんといっても構成にやられました。3作を別々に上演するのではなくて、『ヴィヨンの妻』の中に、『きりぎりす』と『女神』を、それぞれ挟み込んでいるのが秀逸。
なるほど、この3作を取り上げた意味も良くわかります。
したがって、太宰の『女』と『男』の世界が、それぞれの状況と言葉が相乗して効果的に広がってきます。
俳優さんの演じ分けも、和洋室と屋外の情景を使い分けた舞台、ムードある美術と衣裳と、とても演劇的な醍醐味がありました。
駅からの便を考えれば、西川口はさほど遠くないので、また伺いたいと思います



■はじめての場所。太宰もほとんどはじめて。文字として作品に触れることがなく、演劇としては3作品目。「走れメロス」では役者さんが走っていたし、「女生徒」は微妙なパフォーマンスでした。
時間になり開場、なんとなくザムザのような雰囲気。L(の上下逆ですね)に座席が配置されています。舞台は、入口の右からはじまっていて、そこと、中央、奥と3箇所で演じられます。座席は、入口から左側、奥に向かって並んでいて、右に折れます。私は入ってL字の長いほう、一番奥椅子席に座りました。ここからですと、入口付近の役者さんは、首を伸ばして、思いっきり右に向けないとちょっとみえません。でも、中央、奥の場面はよくみえます。外の喧騒を離れ、静かにお芝居ははじまりました(プログラムA)5つのお話が、ほとんど切れ目なく演じられます。会場の雰囲気がいいので楽しく観劇できました。ここでみた「太宰」が、太宰に対するいろいろな評価のなかでどういった位置付けになるのかわかりませんが、テキストを読んでみようという気持ちになりました。



■劇団初見!
太宰を良く知っている人は当日パンフを読まないで観ると面白いかも。
太宰を知らない人は当日パンフを読むと解りやすいかも。
私は後者でした。「ヴィヨンの妻」の作品中に他の短編を挟み込む手法。何処から「きりぎりす」に変わったのか解らずちょっと戸惑った。あ〜そういう事かと気づいてからはキンダースペースの描く世界観を楽しんだ。