1994年 <読売新聞5月31日号> 
       杉山弘氏 「3×3」 
                        
 六畳一間の安アパート、こぎれいなワンルーム・マンション、倒産した会社の倉庫。照明の切り替えで、舞台を三ケ所に分け、三組の男女のままならぬ物語を同時に進行させる。いずれも、奇妙な第三者の存在が、二人の関係に微妙な影を落とし、さめかけた恋心を、一層ねじれていく経過を丹念に見せる。特に原田の「間」の使い方が良い。深刻になりがちな展開にリズムを与えた。