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「けさく」 

 表紙の猫はうちの猫です。
 名前は「けさく」。読みは「けっさく」です。「傑作」というイミです。
 うちに来たのは昭和の終わり。猫が欲しくて、知り合いの役者さんうえだ峻さんにお願いしておいたら、私の誕生日にうえださんが見合い写真をもってきてくれました。写っていたのは体長15センチぐらいのサバトラの仔猫。青いリボンにじゃれいていて、キョトンとした瞳が愛らしく、うえださんに「どうする? 気に入らなかったらもっと他のにするよ」と言われて、「……そ、そんな、こんな写真見せられて、気に入らないもなにもないじゃないですかあ」というカンジでうちに来ました。
 
 彼はどうやら世田谷のあたりで産まれ、すぐに兄弟5〜6匹と一緒に捨てられていたらしいです。心ある人が拾って動物病院に連れていった時には、けさくがなんとか息がある程度で、あとの兄弟はみんな死んでいたそうです。すぐに手当てを受け、注射も打ってくれました。でもその人の家にもすでにねこが何匹かいたので、誰かもらってくれる人を探していたそうです。ちょうどその時、私がサバトラの猫が欲しいと言っていたのが出会いのきっかけでした。

 こいつはホントにいい奴です。「いい奴」は人間にもいますけど、こいつはほっんとおにいい奴です。何をするわけでもありませんが、存在が「いい奴」なのです。客観的に見れば、うんこしっこは至る所にしてしまうし、息は魚臭いし、デブだし、腹は段々で毛が無いし、臆病者で外に出ると地面に腹を着けて歩くので段々腹がすり切れたりしますけど、そういうことを度外視して余りある程、「いい奴」です。

 ま、こいつに関しては、きっとこれから色々書いていきたくなると思うので、まずはこれまで。