劇団キンダースペース 
monodrama <モノドラマ>
構成・演出 原田一樹

 

小林元香

山本周五郎 作
「プールのある家」

 ある「街」で暮らす乞食の父子の物語。
 犬小屋のような住居で寝起きし、残飯をもらい歩く生活をしながら、父子が語り合うのは「いつか建てる筈である自分たちの家」について。かれらの空想上の家は、幾たびとなく建てたり改築されたりしながら、しだいに豪壮な邸宅となっていった…

 短篇集「季節のない街」に所収。昭和45年黒澤明監督の映画「どですかでん」のエピソードにも取り上げられた作品。

太宰治 作
「貧の意地」


 江戸品川に住む貧しい浪人原田内助は、気が弱く融通が利かない親戚の持てあまし者の愚図である。ある年の大晦日、義理の兄から借りた小判十枚を、雪見酒と称して集めた長屋に住む貧しい浪人者達に披露する。小判を肴に盛り上がり、皆が退座しようとした時、包みの中の一枚が足りないことに気付く。

 「新釈諸国噺」に所収。この作品の中で太宰は、「世界で一ばん偉い作家である」と絶讃している井原西鶴の著作を下敷きにして、太宰らしいこまやかな心理や自意識を書き込み、自らの文学にしている。

平野雄一郎 

瀬田ひろ美

織田作之助 作
「道なき道」

 
幼い頃からヴァイオリンへの天才的な感性を持つ娘・寿子。父親の庄之助の思いは、娘を日本一のヴァイオリン弾きに仕立て上げる為、異常な愛情へと変わっていく。「乾いた雑巾から血を絞り取るような苦しい稽古」の末、コンクールに優勝した寿子には前途洋々たる未来が広がっていた。しかし、その時庄之助に、ある苦い思いがわき上がる。

 織田作之助は、太宰治・坂口安吾とともに無頼派と呼ばれる作家。この作品は、5歳で神童といわれた天才ヴァイオリニスト渡辺茂夫をモデルとしている。劇中、冒頭と最後に流れるヴァイオリンの演奏は実際に彼の十六の時の録音で、その直後この天才は留学先で服毒自殺を図り、再起不能。そのまま数年前に亡くなった。