役者の息遣い間近に 仮設舞台で「小劇場演劇」
県立劇場

「貧の意地」の舞台=県立劇場
 熊本市大江の県立劇場(川本雄三館長)で九日夜、演劇ホールの舞台上に仮設ステージを設けて芝居が上演された。観客はいつもと違う雰囲気で、役者の息遣いを間近に感じながら観劇した。
 演劇ホールは大掛かりな芝居やオペラなどは上演されるが、客席数二百―三百程度の空間で演じられる「小劇場演劇」は行われていない。同演劇は、熊本ではアマチュアを除いて上演機会が少ないことなどから県立劇場が初めて企画した。
 設けられたステージは横幅・奥行きとも九メートルで、客席はステージを三方向から囲むように約二百席設置。周囲には黒い幕がかけられ、開演直前に緞帳(どんちょう)が下ろされると、こじんまりした小劇場演劇の空間が広がった。
 演じたのは在京の劇団キンダースペース(原田一樹代表)で、太宰治の「貧の意地」など小説三作品を一人芝居で披露。スロープが配されただけのシンプルな舞台空間で同劇団の役者はそれぞれ、観客の想像力をかき立てるように熱演した。
 十日午後二時からも上演される。



貧の意地 平野雄一郎