劇団キンダースペース 
monodrama <モノドラマ>
構成・演出 原田一樹

 一人芝居というジャンルがあります。チェーホフの「煙草の害について」や、井上ひさしの「化粧」、イッセー尾形の「都市生活カタログ」の連作等、初めから独り芝居として作られたものや、又、本来は何人かの登場人物の芝居を独りで演じるものなど、これらは、対象が見えない存在であったり、観客であったり、いずれにしても多くの場合、俳優の方法は基本的に対話演劇と変らず、演じる人格は一つに統一されていて、舞台空間も大方、一般的な演劇とかわりません。つまり独りの登場人物のみによる、リアリズム演劇ということが出来る思います。

 また、朗読劇というジャンルがあります。これは文学作品などを俳優の声によって文字通り朗読するのですが、基本的には、俳優はその場で動かずに本を読み、文字を声に出して伝える表現で、演劇というよりも聴く文学です。

 今回のモノドラマはこのどちらでもなく、俳優が声と身体、つまり動きというものを使って、文学作品の世界を観客のイマジネーションのなかに作り出そうという試みです。俳優の身体というものを使って舞台化する、落語か講談のようなものだと考えています。上質の落語や講談は語り手の作る世界がその言葉を超えて背後に立ち現れてきます。今回はその世界を近代以降の日本文学から選んでみました。