熊本日日新聞

劇団キンダースペース 熊本公演「モノドラマ」
【役者たちの静かな“迫力”】

 開演数分前。普通だと上がるはずの緞帳が背中側に下りていく。県立劇場の演劇ホール舞台上に特設された客席に座っていると、それだけで異空間に誘われた。
 昨年八月に続き同劇場で開かれた在京劇団キンダースペース(原田一樹代表)の公演「モノドラマ」。森鴎外の「高瀬舟」や菊池寛の「藤十郎の恋」など日本人作家の小説六作品を役者たちが一人芝居風に見せる舞台は、静かな“迫力”で観客席に迫ってきた。
 見慣れた芝居と違い、一人の役者が小説を語りながら物語は進む。ラジオドラマが舞台上で一人で演じられる感じだ。セットや音響、照明といった演出効果は最小限。話術と雰囲気で、小説の世界を広げさせる役者たちの力量はさすがだった。
 熊本ではお目にかかれない種類の演劇を提供してくれた意義は大きい。演劇ホールの舞台上に小演劇空間をつくった県立劇場の取り組みも頼もしい。
この「特設舞台で熊本の劇団の芝居を見てみたい」。そんな衝動に駆られながら会場を後にした。(熊本日日新聞 岡本)

・ほんとの言葉で語るスタイルに感動した。一人芝居の面白さを堪能した。言葉だけで様々な想像が広がっていく。無限の可能性があると思った。
・まばたきの出来ないほど、息をつめて観ました。役者が観ている「物」、その一つ一つが現れてくるようでした。
「藤十郎の恋」では、ゾクゾクッとした感じがして、すごく感動しました。
・わたしも少しばかり短歌をしておりますが、31文字を17文字にそぎ落としたような、極めてシンプルで想像力を掻き立てる雰囲気、空気が舞台に満ちみちていて、とても良かったです。
・うわさに違わぬ面白さでした。また小説を読み返したくなるようで文学に接した気分です。日本語の美しさ、多様性が再確認出来ました。衣裳など舞台の工夫も良かったです。また観に来たいです。
・語りの奥深さや迫力があった。間近で観られて臨場感もあり引き込まれる。シンプルだからこそ伝えたいことがしっかりと伝わる。
・舞台の間近で観られ、演じられる方は随分大変でしょうが、息もつかない気分で集中して見せていただき感動しました。
 一人で物語の情景や何人かの動き、感情など、彷佛と浮かぶ素晴らしさ。現代詩・短歌・俳句に通じる、…無駄を一切そぎ落とす…というものに行き着くところは同じだと思いました。
・活字で読む以上に多く、深く想像し考えさせられたと思います。
 子供達にも経験させたいです。
・絵画のように心の中に風景が広がりました。すばらしかったです。
・シンプルな舞台に風景が見えた。