劇団キンダースペース第30回公演

野鴨

原作イプセン
構成・演出原田一樹

シアターX(cai)提携公演

 ヤルマールは妻ギーナと娘ヘドヴィクと暮らす写真屋。同居している父エクダルは元中尉で、以前金融事件に巻き込まれ投獄されており、その責めを追いながら生活している。ヤルマールとエクダルは屋根裏に「野鴨」を飼っており、それが二人の生き甲斐になりつつある。が娘へドヴィクは「野鴨は私のものだ」と言う。
 ヤルマールの友人グレーゲルスは、父親のヴェルレが催した晩餐会の席で、ギーナがヤルマールと結婚する前に父の愛人であったこと、その後父親は彼女をヤルマールと結婚させ援助していたことを知る。
グレーゲルスは、ヤルマールに結婚の裏に隠された真実を伝える。ギーナの秘密を知らされたヤルマールは、自分が娘ヘドヴィクの父親であるか疑問を持ちギーナに詰め寄るが曖昧な返事を聞かされ動揺しヘドヴィクを娘として受け入れられなくなる。
 一方グレーゲルスはヘドヴィクに対して、父親の愛情を取り戻したいのであれば、自分が一番愛している野鴨を殺して証明するしかない、と言う。しかしヘドヴィクは野鴨ではなく自らを銃で撃ち命を絶つ。