「プラトーノフ」は未完とされていながらも、チェーホフの戯曲の中で最も長いものの一つです。もちろん冗長なのではありません。そこにこの作家の、書いても書いても書ききれぬ人とその選ぶ生き方に対する、懐疑と肯定と否定、愛と憎しみと憐憫と慈しみ、希望と絶望と情熱と憂鬱が渦巻いているからです。ここに描かれている世界は、若者から見た未来へのいいしれぬ不安であり、年老いた者からみた取り戻せぬ喜びであり、女達から見た世間からの疎外であり、男達から見た理解の不在です。重層的に織れ重なった人と世界のすれ違いのを描くには、様々な俳優達と、スタッフの力量を必要とします。 キンダースペースは、これまでも多くの客演陣を迎えてまいりました。 今回は、前回「えれくとら(喪服の似合うエレクトラ)」再演に続き出演の、俳優座より加藤佳男。同じく「えれくとら」に続き白州本樹。その他にも、バリ舞踏家の小谷野哲郎。文化座より沖永正志。といった多彩な面子ですが、いずれも、演出の原田一樹、あるいはキンダースペースの劇団員達との共同作業の経験のある俳優達であり、上演の意図、舞台を作り上げて行く際の組み立て方、アンサンブルの積み立て方に精通している者同士で、今回の座組みには最適のメンバーと考えております。 原作をそのまま上演すれば、ゆうに五時間を越える作品を、今回は座員の坂上朋彦と、演出の原田一樹が共にテキストレジにあたり、チェーホフのエッセンスをそのまま凝縮する脚本作りを行ないます。 スタッフは、美術に松野潤、照明に篠木一吉、衣裳に鳥居照子、音響に熊野大輔といった、劇団を支えてくれるいつもの方々です。 キンダースペースとしては、チェーホフに初めて取り組むことになりますが、今後も数本は何らかの形でチェーホフの世界を正面に据えた作品作りに向かっていくつもりです。 |
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客演
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矢野宣 |
加藤佳男 |
坂本大地 |
白州本樹 |
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沖永正志 |
小谷野哲郎 |
磯本浩平 |
石川靖徳 |
※公演ちらしに掲載しております 泉龍太(劇団キンダースペース)は都合により出演出来なくなりました。