「モノドラマ」Aプログラム

【アンケートより】

●昨日は「Aプログラム」拝見しました。
いつもながら面白かったです。
「骨」
鬼気迫る雰囲気が良かったですね。
そこに病人がいるようなじめじめした感じと、主人公のじめじめした心の内
とが良く表現されていました。
「粋人」
こういった演出もあるのですな。
活字で読むと「婆」はもっと狡猾でるように思っていました。
役者さんにとって「ぶる」というのは相当難しいとおもっていますが、どう
なんでしょうかね?
「金持ちぶる貧乏人」というのは両者の狭間を行きつ戻りつしながら演じな
ければならないのでしょうね。
「プールのある家」
流石、キンダーのエース!
小生はもと果嬢の「子供」が大好きです。
子供を持つ身になりまして、余計に感情移入してしまった作品です。

●とてもじっくりと見させていただきました。雰囲気が出ていて、一人芝居とはいえ、想像力がかきたてられる、イメージが湧いて来る素晴らしい時間でした。有り難うございました。

●「プールのある家」が本当にすばらしかったです。ナウシカのような人がで出てきたと思ったら、素晴らしい演技とひきこまれた時間でた。愛のある話だと思います。

●「プールのある家」で、子供がお腹を痛めてる様子が想像出来て、悲しい気持ちになりました。小林さんの最後の表情が印象的でした。

「骨」はお金を稼がないといけない女の気持ちが、見ていて辛くなりました。生きる事は大変だなとありきたりではありますが改めて感じました。


山名リンパケア 山名さんより facebookに投稿】

・西川口に小さいながらも質の高い劇団があるのでお知らせします。
1985年からオリジナル演劇として劇団キンダースペースが結成され、20年以上、地道な地域に根差した活動を展開されています。山名リンパケア研究所も同じ町内会のよしみで昨年から賛助会員になっていますが、昨日からは、一人芝居や朗読劇でもないモノドラマが始まり、さっそく仕事の合間に観に伺いました。
昨日は林芙美子、太宰治、山本周五郎らの原作を3人の演者が
巧みな話術と表情で、笑いあり、涙あり、感動ありで其々演じながら聴かせてくれ大満足しました。
気が付けば、私はサロンのエプロンをつけたまま劇団アトリエにかけつけており、少し恥ずかしい気持ちでおりましたが、笑い声は一番大きく涙も一番出たかとと思います。すみません。
演じてくれた大桑茜さん、根本雅也さん、小林もと果さん素敵なお芝居をありがとうございました。素晴らしかったです。構成・演出の原田さんいいものをいつもありがとうございます。スタッフのみなさん頑張ってください。陰ながら応援しています。


カスクアンドスティル  
西川口 PUB KITCHEN 〜cask and still〜グッさん! ブログより

西川口が誇る老舗の劇団、キンダースペース。
その真摯な眼差しに心打たれます。
只今日曜まで公演されているのが、一人舞台で3作ずつの「モノドラマ」。
ABCと3コースあり、全部で9人9作が西川口のアトリエで観劇できる。
昨日やっと一息ついてブログも更新、
初日の「モノドラマ」Aを観劇してまいりました。

舞台を観て、初めて泣いた。。。
舞台は役者さんのライブを見てて緊張するせいか、考える内容が多いせいか、
一度も泣いたことがなかった。
Aの3作目「プールのある家」(山本周五郎)、素晴らしかったです。
後半は涙があふれてきて、終わってアンケートも満足に書けず、
初日の乾杯も泣きやまなそうだったので辞退してしまった。

帰って「プールのある家」の解釈をネットで調べたら、
ダメな親に悔しく悲しいという感想が多くて少し驚いた。
まっとうな解釈なのかもしれないが、
私は親子に溢れ出る愛に打たれ、愛とはこういうものじゃないか、と思った。
あの役者さんの演技だから、愛を感じたのかもしれない。
歳をとった親を見ると、私も歳とったなとこの頃思う。
愛は愚かしいまでに変わらない。

本当に素晴らしかった。


【多和田さち子さんのブログ ひょうげん舎まるち より】


 劇団キンダースペースは埼玉・西川口にアトリエのある劇団です。昨年6月、ひょんなことからその存在を知り、初めて舞台を拝見しました。(『女と天才』〜太宰と女たち〜) その時の演目、太宰治『嘘』はNotte流のアレンジで2012年3月『四季の女』のプログラムにもなりました。
 その後、今年6月の舞台『三者三昔物語』にも出掛け、今回が3度目の観劇。この劇団は朗読の団体ではありませんが、いつもしっかりとした文学作品に根差した舞台で、Reading Notteにとってはとても親しみのある団体だと感じています。今年6月は6年ぶりの「モノドラマ」と聞いて、稽古の隙を縫うようにして出掛けました。モノドラマはその名の通り、1人の役者が地から多数の役柄まですべてを演じます。わずかながら置き道具や小道具を使いますが、象徴的な動きだけで表現する場合も多く、ふつうの芝居とも朗読とも違う面白さがあります。

 
観劇したのは6/28木のAプログラムとBプログラム。Cプログラム(江戸川乱歩『押絵と旅する男』、宮沢賢治『虔十公園林』、菊池寛『藤十郎の恋』)もありました。稽古などのため28日前後の日程が埋まっていて観られず、とても残念でした。

[Aプログラム]

林芙美子『骨』(演者=大桑茜)
 『骨』は北村薫・宮部みゆき編『名短編、さらにあり』(ちくま文庫)で初めて読みました。戦争で夫を亡くした道子が娘と父・弟を養うために娼婦に身を落とす。その初めての経験から、「馴れて」「病んで」いく道子の体と心、待ちかねた弟の死などを迫力のある筆致で描いています。大桑さんのモノドラマは道子の心身の変化を緊迫感と悲しみとでよく表現されていたと思います。蒲団やちゃぶ台、お銚子といった具体物はあるのですが、演者が物に手を触れる度合いは、私が想像したよりもずっと少なかったのは意外でした。説明的な動きや表情よりも、原作の言葉と文章を優先して表現されたように思いました。人生の重苦しさが伝わってくるようで、よかったと思います。

太宰治『粋人−新釈諸国噺−』(演者=根本雅也)
 太宰が西鶴の『世間胸算用』の中の一編を翻案した作品。『お伽草紙』と並ぶ面白さで有名な『新釈諸国噺』に入っています。大晦日の借金取りから逃れるために「粋人」を装って薄汚い茶屋に身を隠した男、それを見抜いていてわざともてなすふりの「婆」。互いの表と裏の表情をテンポ良く描いていく小気味良さがあります。根本さんのモノドラマは、衣装も現代的、それもクロプトパンツのような超現代版のズボンで軽薄さを出していた感じが面白かったです。一人で粋人と婆と、途中から年増芸者を演じる根本さんのモノドラマはまるで落語のよう。座布団の上と下とで演じ分け…。
 一人が基本のモノドラマですが、これは二人でやるのも面白いのではないかと思った作品です。演じ分けの忙しさでテンポが少し落ちてしまうと残念。Notteだったら、婆も男性が読み手になってみるのがよいかも…と、自分勝手な想像を膨らませて楽しみました。

山本周五郎『プールのある家』(演者=小林もと果)
 周五郎にこんな作品が?と少し驚きましたが、これは黒沢明監督の映画『どですかでん』の原作『季節のない街』に収録されている作品だそうです。浮浪者として暮らす父と幼い息子。残飯をもらい歩くどん底の生活なのに、2人の話題は外国風の家を建てる夢のような話。父親は教養のある人物なのか、高尚な知識で息子を魅了する。火を通さずに食べた生ものの残飯に中(あた)り息子は命を落とす… 背景がよく分からないながらも、この父子の世界にしっかりと引き込まれたように思います。父子の粗末な住まい、残飯をくれる料亭の裏道、2人が夢見ていたプールのある家…。小林さんのモノドラマが風景を見せてくれました。