「モノドラマ」Bプログラム

【アンケートより】


モノドラマ、久しぶりにひたりました。ドラマへの入口は観客ともつくる世界だと思います。人間がどうしても語るには、平野さんの奥行きが必要と聞き、観させていただきました。

高瀬舟は教科書に載っていたので懐かしかったです。改めて奥深い作品だと感じました。
雛は今回の中で一番長い作品だったと思います。最後の雛を出して見ているであろう父の姿が浮かびました。
雪の夜は登場人物の坂田と、語りの平野さんが同一人物のようにみえるほど、臨場感を感じました。



【多和田さち子さんのブログ ひょうげん舎まるち より】

[Bプログラム]

森鴎外『高瀬舟』(演者=西村剛市)
 朗読を学び始めてからほどない時期に与えられた教材で、いままた講座やNotteの勉強会で繰り返し読んでいる作品です。10年前よりは、今の方がこの作品の良さ、鴎外の温かさが分かってきたような気がしています。舞台の中央を橋のような作りに転換して「舟」に見立てた設定は良かったと思います。その上で演者が庄兵衛になったり、喜助になったり、また語り手になったり。西村さんは「視線」の上手い役者さんだと思いました。登場人物が相手に話し掛ける視線、語り手が観客に語りかける視線、そして人物や語り手が「自分自身の中」で思いを巡らせる内省の視線。それらの使い分けやバランスが心地よく感じられました。
 喜助の語りは、「ほとんど条理が立ち過ぎている」という語り手(作者)の感想に合致するような印象でしたが、ドラマとしてはもう少し臨場感のあるものでもよかったような気がします。

芥川龍之介『雛』(演者=西川ゆき依)
 Notte『四季の女』で苦労した作品です。カットも難しかったですが、何人もの登場人物(お鶴、英吉、父、母、丸佐、徳蔵)、場面の移動(店、土蔵、大通り〜横町)を分かりやすく表現するのは大変でした。朗読ならば、一瞬の方向変えでなんとか凌いでいけるのですが、モノドラマぐらいの具体性が出てくると、よけいに難しくなってくるかもしれません。西川さんの「お鶴」が少し、ばたばたしてしまった感がありました。最後に父が雛を飾ったのも、原作での枕元ではなく、店のほうになってしまったのも、ちょっと残念でした。
 若い演者は15歳のお鶴にはよかったと思いますが、「老女」が振り返る語りには、やや年齢の高い演者の方がいいような気がします。

織田作之助『雪の夜』(演者=平野雄一郎)
 そもそもキンダースペースとの関わりは、織田作之助の『人情噺』が縁でした。平野さんの語りは温かい大阪弁で、厚みのある声の、いい語り口だったと思います。次々と出てくる持ち道具も何だか手品を見ているようで面白かったです。原作を読んでみたい気持ちになりました。

 パンフレットに載せられていた、キンダースペース演出家の原田一樹さんと故・川本雄三さん(2004年当時の熊本県立劇場館長)の対談もとても印象に残りました。

・俳優が空間を創っていく。
・1人しかいない舞台に別の人物や、異なる空間を作り出して見せる。
・俳優が観客の想像力をかきたてる瞬間を創る。

「モノドラマ」の目指すところは、「俳優」を「朗読者」に置き替えても、全く不自然ではないことだと思いました。Notteの目指していることもほぼ同じです。朗読ではあっても、これらを実現するためにちょっとした道具を使うこともあります。
 キンダースペースが見せてくれる作品のチョイスもまた魅力的です。大いに参考にさせていただきたいと思っています。




【柿森ななこさんのブログ ++日々これ思う++  より】

キンダーさんの
モノドラマ!

三本立てで9作品を
一気に拝見しました

体力気力ともに
思ってたより元気で
最後まで楽しめた


何かこういうの
深部に迫っていくもの

真摯に向き合い追求していく姿に
飢えていたらしい

ものすごい吸収力でした


どんどん引込まれた…

やはり芝居はいいです

世の中の新しい部分が見えてきたり
あぁそうだったと再確認したりで

藤十郎の恋は
前に見た時と
印象が随分変わって新鮮でした

演じる瀬田さんも変わられたのだろうし
観る自分も変わったし

その変化を考えることも
また楽しく


西村さんのやった高瀬舟は
モノドラマにあうなぁ

とか

結論を提示されるより

何故か続くものが
好きだなあ

など

小説と違い

演じる人に目がいくと
大事な言葉を逃しがちにもなる

人と話すとき
相手の外見やしぐさを見るのが8割で
話してる言葉を聞くのは2割だと
何かの記事で読んだけど
それを実感したりもする

自分の存在よりも
言葉を浮き立たせ
想像へ導くには

存在感を消すことも
必要なのかも


でも何もない状態では
ダメだろうし


気配を残す?

…難しい

難しからこそ
挑み続けられるのでしょうね


本当に良いものを見ました