■Aプログラム三作品から
瀬田ひろ美さん演じる、国木田独歩の「竹の木戸」より

舞台上でたった一人の俳優が、身体を使い、声を使い、目の光を、心を、精神を込めて小説の世界を表現する時間。
活字として描かれた作品は、俳優のフィルターを通して目の前に紡ぎ出される。一分の隙もない、竹の木戸の向こう側とこちら側の世界。
主人の邪推なき善意として、3Dとして現れた木戸は、物語が進むにつれ貧富の境、善悪の境目の象徴か、いや、そこをくぐるたびに小さな棘に刺されわずかに歪んでいく植木屋の女房の心象風景とも見えた。
悪意なき哀しみから人が引き起こしてしまう現実は、三つ四つの炭の欠片から立派な炭俵に姿を変えてお源の上にのしかかる。
その俵のカラカラと乾いた炭を足の裏に踏みしめて、命の果てへと飛びたったとき、お源は初めて聖と俗の境ともいうべき竹の木戸を遥かに飛び越え、自由になったのではないかと感じた。

国木田独歩が行間に描いた現実があるとすれば、木戸が閉じられ、最後まで乾いた感情のまま、植木屋の亭主が渋谷村まで持っていったに違いない。

十人ほども登場する人物を、冷静に捉え表現する力量はさすがの女優、瀬田ひろ美である。【女性】


初日開演おめでとうございます。
西川口→下北沢とプチ旅公演のようで、長丁場ですが頑張ってください。
以下、毎度素人の感想です。
「眉山」
太宰作品のモノドラマは今までも拝見しましたが、「絵」にし難い作品の
代表ではないかと思っています。
それをいつもきちんと舞台にする原田さんの演出には感動します。
落合嬢もその演出に負けずしっかりした演技で良かったです。
一人称である「僕」をもう少し強く演じると更に素人受けするかもしれま
せんね。
「猫の結婚式」
猫の帽子には耳が出る穴があるのか? †猫は拍手をしても、肉球できっと
音がしないんだろうななんて、ふざけたことを考えながら舞台に引き込ま
れました。
落合嬢もそうですが、小池嬢も、東演の女優さんには技巧と言うよりは、
少し危ういけれど基礎がしっかりしている底力を感じました。
作品の「僕」のような気持ちに、将来娘が嫁に行く時、小生もなるのです
かね(笑)
「竹の木戸」
まあ、期待通りというか、毎度けさくさんの表現力に脱帽でございます。
そこに何人もの人間がいるように、しかもそれぞれの性格を「気」で演じ
分けることが出来る・・・気功師のようです。
炭があって、それを触ったお源の手が黒く汚れている光景までハッキリ感
じることが出来きましたよ・・・スゴイ!【男性】



キンダースペース、六月六人の女優による六つのモノドラマA。劇団東演との合
同。日本文学をベースにした一人演劇。女優・作品が変わるとまるで違ってくる
のが面白い。1人8役とかは、かなりしびれる。【男性】


★三つのモノドラマ★
二つの劇団による合同公演、Aプログラムを観た。本当はBプログラムがあって、正確には「六人の女優による六つのモノドラマ」である。劇団東演と劇団キンダースペースの女優さんが1人1作品を演じる。出演者は、落合咲野香さん(劇団東演)の太宰治 作「眉山」・小池友里香さん(劇団東演)の安房直子 作「猫の結婚式」・瀬田ひろ美さん(劇団キンダースペース)の国木田独歩 作「竹の木戸」を面白く、楽しく観た。3人とも基本がしっかりしているから心地よい声が客席に届く。基本は一朝一夕に出来るものではないから敬意を表します。一人で演じる事は良くも悪くも自分の責任だから俳優にとって必要な事でもありますね。一人だから稽古時間も自分である程度作れる。それを演出家に見て頂く。友達二人について触れます。

◆落合さん あなたの舞台は何度もみて、私をガッカリさせた事がない。今回も勿論です。落合さんは真面目に丁寧に向き合っているからとても好感がもてます。あえて言えばもっと気楽に、特に会話の部分が日常会話の様に気楽に語りかけると観客と落合さんの距離がぐ〜っと近くなるように思いました。
◆瀬田さんの会話の部分は役の性格から、話し方から魅せてくれました。私の求めている語りを見せてくれました。そして眼が素晴らしくいい。私は俳優の眼で50%カメラマンの眼で50%で観ていました。撮影禁止は解っているのにウズウズしてました。 ※初めて拝見した小池さん。猫の世界をクスリと笑いながら観ていましたよ。 【男性】



初めて観せていただきました。あっという間の一時間半。はじまってから観客が
話し相手のように語る様子、高い目線もくまなく移動させるしぐさ、解りやすい
言葉使い。特に昭和の話し方には嬉しくて、何度か「そうだった〜」とうなずき
ました。
「竹の木戸」は素晴らしいです。最後の場面は本当にはとても大変だけど、それ
を感じさせない終わり方が、そうか〜そうか〜と思いました。クライマックス
にあえて力を入れない言い回し。良いですね。炭を盗むお源さんを追っていると
何故かお源さんの気持ちに共感してしまいます。それを演じる瀬田さん、すごか
った。今後のご活躍をお祈りします。【女性】


「猫の結婚式」がストーリー的に面白かったです!


ふしぎなお話にひきこまれました。目の前にそのお話の世界が広がるのですね。
【女性 59才】


色々なタイプのお話が観られて楽しかったです。「竹青」のカラスが素敵でした
ねえ。言葉は難しいのにコミカルで。


モノドラマ好きです。これからも楽しみにしています。6作品とも素晴らしかっ
たです。【女性】


本当に色々なタイプの時代の違う作品世界に、あっという間に引き込まれまし
た。簡潔なセットもよかったですね。【女性】

もと果さんの出演を楽しみにしていました。三人三様とてもよかった。もと果さ
んの中国名の滑舌もはっきりしていてよかったです。また一段と魅力ある女優に
なりましたね。【女性】


三つの劇とも役者さんの演技でストーリーに引き込まれました。モノドラマとい
う形式の劇は初めて観ました。三つとも違う印象を持たせる劇でとても面白く、
舞台に引き込む役者さんの演技と求心力に感銘を受けました。【男性 42才】