劇団キンダースペース レパートリーシアターVol.39
『蜜の味』
作/シーラ・ディレイニー

『演劇は、こんなにも面白い!』

かつて映画産業が生まれた時、演劇は俳優の供給源でした。舞台を経て映画で羽ばたいて、名優が数多く世に出ました。やがて演劇は映画にその観客を奪われ、大衆文化の第一線から退きました。その後テレビが映画にとって代わり、今はそのテレビもSNSにとって代わられようとしています。演劇もこういった流れと無関係ではありません。映画やテレビの表現からより離れ、より小さく、より生き生きと、より直接的に、より心の奥深く届く表現として洗練されることが求められています。一方で演劇には歴史があります。繰り返された文明の過ちの中で生まれてきた数々の蓄積が残されています。キンダースペースは、今、本当に演劇的な何か、生の舞台でしか伝えられない深い感動を、演劇の真の「面白さ」を伝えていきたいと考えています。ジャンルは問わず、かつての時代と拮抗したヴィヴィッドな舞台を、新・レパートリーとして、創り続けようと考えています。

その第一弾は、1939年生まれのイギリスのシーラ・ディレイニーが、17歳の時に書いた『密の味』を上演いたします。これは、わが国にも今後訪れるであろう格差社会からのメッセージです。