劇団キンダースペース レパートリーシアターVol.43
『嫉妬』
作/清水邦夫 演出/深町麻子

家があった。
通称、魚町の気象館と呼ばれる黒い旗の立つ家。
その家に、生まれてからずっと住み続けている姉娘がいる。

その隣にはこれまた40年間、この家に住み続けている男が営む星野洋服店が建っている。

最近姉娘から、東京で女優をする妹娘に奇妙な手紙が来るようになった。
「近頃時々部屋をのぞかれて困っている。遂にはエスカレートして…」

誰が、いつ覗いていたのか?
真実は目の前にしないと分からない。しかし、一端引きずり出してしまえばもう取り返しが付かない。

受け入れられなかったら、また目の前から遠ざけてしまえばいい…壁を立てて。

しかしそれで終わりに出来るのか。
動き出したことは悪かったのだろうか。

断片の行き交う中に私たちはどんな真実を求めるているのか…。

清水邦夫氏が1981年に表した作品が現代に新たな輝きをもって 存在するのを感じます。

【演出:深町麻子】