「父と暮らせば」 感想 アンケートより


・母から祖父の話を改めて聴いてみようと思いました。自分も戦中戦後のことを語り継いでいたきたいと思います。


・とてもよかったです。娘さんの思い、竹造さんのしゃべり方、あったかかったです。


・被爆の現実を知らされました。生き生きとした演技に感動しました。


・父娘の深い心情が伝わる良質の舞台でした。深町さんは被爆することによって内向きな性格になった娘さんになりきっておられ、娘さんの気持ちに引き込まれました。そしてとてもチャーミンクでかわいらしかったです。小林さんの竹造さんは軽やかさと娘へのおもいが良く表現されていたと思います。


・  原爆で人々の運命が変わったのが伝わりました。自分がいき残った罪悪感や生まれてくるであろう子供への影響の心配等、戦争は終わっても本当の「戦後」は来ることはないと思います。生き残った者は役割があって生きているとの父親からのメッセージが響きました。


・こまつ座での芝居も殆んど拝観しておりますが、なんでしょう?今日ほど…戦争の痛ましさや残酷さ…を身に染みて感じたことがないのです。
今日の芝居も色々なキャストで拝観したのですが…     
辻さんやすまけいさん…など、達者な役者さんの父親が…エンタティナーとして感じられた…それはそれで楽しいのですが…    
今日ほど娘を愛する父をリアルに感じたことはありません。
多少かんでも…それがリアルです。
昭和の父は大抵は無口で、私の父なども…今日の芝居で語ったこと…多分父の一生分であっただろうと思います。
ですから…だからこそ…愛情が伝わりました。
演技達者な深町さんも期待しておりました。
どちらかと言うとその達者な台詞回しに反して、無表情、クールと言った印象でしたが…それこそとてもリアルな、純真で誠実な、だからこそ心を閉じてしまった女性を演じられました。
去っていく父にお礼を言う娘。
手を合わせ鎮魂と感謝のお礼を伝えたい思いで見終わりました。


・今回の「父と暮らせば」はタイトルだけ知っていて、実際に見たのは初めてだったのですが、本当に胸に来る作品でした。
見る前は、舞台のセットがどんどんすごくなるなぁとか、二人芝居ということでどのような進行になるのかなとなどと考えながら始まるのを楽しみに待っていたのですが、テーマが原爆についてでしたので、泣いてしまうだろうなと覚悟して見たのに、結果的に自分でも引くほど泣いてしまいました...??笑
舞台の邪魔をしてはいけないと必死に我慢したのですが、何度もしゃくりあげてしまったほど、見ているのが本当に辛かったです。泣き声か響いてしまい気になった方もいらっしゃったかと思うと大変申し訳なかったのですが、それでも目を離すことも出来ず、ボロボロと涙を流しながら食い入るように見入ってしまいました。
特に美津江の心情を思うとやりきれず、幸せになって欲しいと願いながら見ていたので、竹造の後押しによって踏ん切りが付き、希望のある終わり方になっていたのでとても安心ました。
それと私が一番印象に残っているのは、お互いに手を伸ばし、家に押し潰された竹造を助けようとする美津江と、そんな美津江に生きて欲しくて逃がそうとする竹造がじゃんけんをするシーンです。舞台上では小林さんは立ったままで、深町さんは座っておられましたが、二人の会話から、目の前にその時の情景が浮かび、重なって見えました。
竹造から美津江への愛も、美津江から竹造への愛も、本当に美しくて、何故こんなにも優しい人たちが突然こんな目に合ってしまったのかという理不尽さに怒りと悲しみで胸が張り裂けそうになりました。
また今回舞台を見ていて、小学生の頃に「はだしのゲン」という漫画を読み、絵ではありますが原爆投下時の地獄のような光景を目にし、すごくショックを受けたことを思い出しました。
そして高校生の頃には沖縄の修学旅行で第二次世界大戦時の様子を、講話ということで実際に体験された方の口から直接お伺いする機会があり、また原爆についても、白黒写真ですが当時の原爆被害の様子を撮影した資料を見たことがあったので、そうしたことも重なってより一層お話に向き合えたのだと思いました。
こうして振り返ってみると、きちんと過去の歴史について学ぶことが出来てよかったと思います。若い時分から戦争や原爆の恐ろしさ、悲惨さを学ぶことで、2度と同じことを繰り返さないための抑止力にも繋がると思いました。
今も核を保有している国がままあり、北朝鮮でも実験が行われ続けている中で、日本は、唯一の被爆国として声を上げていかなければならないと感じ、また安易に歴史という枠に押し込めるのではなく、時間の流れの中で薄れてさせてはいけない事実であり、記憶であることを再認識しました。
大学などでも何度か上演されているとのことですので、今後も忘れてはいけない記憶として様々な人の胸に刻み付けつつ、語り継いでいって欲しいと思いました。
本当にあっという間の1時間半でした。
再び上演する機会がありましたら、是非また見に行きたいと思います。
小林さん、深町さん、スタッフの皆様、本当にお疲れ様でした。
そして、豊かな時間をありがとうございました。


・  ああ…。胸が痛い。あまりにも切ない。
それでも人は前を向いて生きる。いや、生かされ行きていく。だが、忘れてはならない事実がある。
広島に原爆が堕ちたその日、その時刻に自宅にいた父と娘…。日常の生活が非常な出来事に変わった時間に亡くなった父親と、生き残った娘…。あまりに残酷で切ない井上ひさし作の戯曲を、三枝竜氏の演出で、父娘の行き違う愛情を涙なくしては見れない物語になっていた。
いかに平和な日常が大切であるか、核戦争の恐ろしさも改めて考えさせられた。
今を生きる日本人の私達が、絶対に忘れてはならない惨事であり、二度と、どの国にも起きてはならない事だと、私は鼻をすすり、咳き込みながら再認識したのである。
多くの死者を見送った娘、また霊になってなお見守る父親の愛情の深さ…。そして、娘は父や亡くなった親友を思い、自らを責め続けて、目の前にある普通の幸せからも遠ざかろうとする…。
娘が生きる意義を見出す様は、涙なくしては見られなかった。
帰り道、美しい夜空を見上げ、心静かに合掌させていただいた。


・こまつ座などで何度か観ていますが、キンダーのアトリエで間近に観る舞台。父・竹造役の小林幸雄氏、娘・美津江役の深町麻子さんとも、井上ひさしの思想を体現している舞台で本当に良かった。奇しくも、被爆者が核兵器禁止条約成立への立役者として、ノーベル平和賞を受け取ったことと合わせ、抜群のタイミングの上演。ありがとありました。


・前半はもうちょっとテンポがあっても良かったが、後半は父と娘のやりとりに泣きました。 おとったんの「おまえはわしによって生かされとる」いうセリフで、生きれなかった者と残された者が繋がり、止めどなく涙が溢れました。 ラストシーン、花道の使い方、三枝演出、良かったよ。 芝居終わってコバジイに「良かったですよ」と声をかけたら「伝わったかわからんけど、愛情を込めました」と言ってました。ちゃんと伝わりましたよ。 また来年夏にやってほしい作品だな。