劇団キンダースペース 連続ワークショップ 2011

キンダースペース主宰・演出家/原田一樹 キンダースペース俳優・スタッフ が直接指導 
好評のワークショップです!

「演劇」の明日に向かって。


「物語」というものの現代における役割の一つは、我々の今生きて暮らしている世界の物差しに対してある根本的な懐疑をさしはさむことです。我々が普段幸福と感じているもの不幸と感じるもの、快と感じるもの不快と感じるものは、本当にそのままの姿であり続けるものなのでしょうか。時代、社会の変遷、あるいは一人の人間の一生という時間においても、それらは大きく揺らぎます。
これまで優れているとされている演劇史上の悲劇を見ると、そこに描かれているのは、良かれと思うことに努力し戦う人々が正にその努力によって裏切られ敗れていく姿です。こういったものに触れると、私たちは生きていくことの根本にある不安に気づかされます。悲劇に限らず、音楽、美術、文学においても、我々に深い感銘を与えるものは、人生のあり方の不条理や不安をその深い地層で捉えているものです。
演劇においては、これが戯曲の形で完成されていればそれでよしということではありません。その上演にかかわる全てのスタッフ・キャストがいかに創造的にその戯曲を現代の我々の存在において捉え立体化しうるか、が上演の意味になります。
つまり現代劇における俳優の課題はこういった物語をいかに魅力的に、そしてドラマチックに生きることが出来るかということなのですが、この時に困難なのは、完結している戯曲の中で生きる、という考えに従うのではなく、先の見えない不安、人間の不可能というものに立ち向かっている戯曲の、その立ち向かっているあり方そのものを生きる、という意識を持つことです。
勿論これは新鮮にやればいい、などという単純なことではありません。俳優が自らの想像を超えるような不可能に、稽古の度に出会うことが求められるのです。俳優が劇作家と同等の創造者として舞台に立ち、演技というものを組み立てるのです。このことはどのように可能でしょうか? それを演技の側と戯曲の側、双方から探って行こうとするのが連続ワークショップです。
昨年度の終わり、私たちは未曾有の災害を経験しました。各制作主体には、中止か実施かの判断の中で、上演ということの社会でのあり方について今までにない覚悟と認識が求められています。我々としては、このような時であるからこそ石油や電気の力ではなく人がその生き物としてのエネルギーとコミュニケーションの能力によって築いて来た「演劇」というものの意味と意義が求められ、またその必要性を訴えていくべきだと信じています。

ワークショップでは、様々な戯曲の一部をテーマに沿って使用します。ギリシャ悲劇から近代劇、現代劇。それぞれにおけるドラマの成立の仕方、演技の方向、俳優としての立ち方をテキストの実演を通して探ります。14年目の今年は、以下のテーマを設定しました。最終日には小さな発表を行います。キンダースペースがこれまで全国各地で行なってきたワークショップ、また様々な俳優訓練のエクササイズも紹介します。

募集は各回ごと。基本的には一年以上の演技経験者を対象とします。これまでのキンダースペースの連続ワークショップ未参加の方も受講可能です。


一年以上の演技、演出、舞台経験者を対象


時間:19:00〜22:00
費用:21,000
定員:12名


Vol.43 「喪失の共有」

2012年

1月31日(火)・2月1日(水)・3日(金)・4日(土)・7日(火)・8日(水)・10日(金)・11日(土)  

(8日間)


日本におけるリアリズム演劇の受容は近代化、西洋化とともにありました。今、世界が圧倒的な量で流れる情報の元に均一化に向う時、私達は私達の生き方、あり方というものをもう一度問い直し、世界の中での私たちの場所というものを再確認する必要があります。私達は西洋近代劇をどのように読み、私たちの物語としてきたのでしょうか。また、私たちは私達の心を揺さぶる物語をどのように受容しているのでしょうか。これを意識することは、我々自身の姿の世界的なあり方を知ることと同時に、我々自身にも見えにくい本質としての存在に気付かせてくれます。世界というものとの関わりにおいて舞台に立つ「俳優」にとって、このこともまた重要な意識の持ち方の一つです。

こちらの募集は終了しました
Vol.42 「沈黙と饒舌」

11月4日(金)・5日(土)・8日(火)・9日(水)・11日(金)・12日(土)・15日(火)・16日(水)

 (8日間)

演劇における台詞は「思っていることを語ること」や「感情、欲望を表示すること」とは、大きく隔たっています。あるときには「思っていることを語らないこと」で観客にその思っていることの深遠を、「感情、欲望」を語らないことで存在の大きさを想起させることもあります。これらの「沈黙」は饒舌以上に大きなものを語り、「饒舌」に語られる膨大な台詞も、時にはたった一瞬の沈黙の深さのためのものであったりします。全ての演劇は沈黙に向うといった劇作家もいました。では、私たちは、一つの戯曲の中にどのように劇的な沈黙を見つけ出すことが可能なのでしょうか。西洋近代劇、日本の近代劇の中に、沈黙と饒舌の劇的な対立を探ります。


2011年度の 連続ワークショップVol.42、連続ワークショップ43、モノドラマワークショップ2011、全てにご参加の方は、参加費総額から5,000円割引きさせていただきます。


申し込み方
希望するワークショップを明記の上、メールでお送りください。お問い合わせも受付けます。
郵便番号・住所・氏名・電話番号・FAX番号・年齢・性別・職業・所属・
演劇経験年数 (なし  1年未満  1年以上)
実施会場:劇団キンダースペースアトリエ
    電話 048-255-4342
    〒332-0021 川口市西川口1-23-3 マンションヒルマ1F
申し込み・問い合わせ:劇団キンダースペースオフィス
    電話 048-252-0551
※申し込み用紙も用意してございます。御請求ください。
※定員になり次第締め切ります。お早めに御応募ください。
※ワークショップに関して劇団の事情によりやむをえず日程が変更になる場合がありますのでご了承ください。その場合応募者には早めに御連絡いたします。