劇団キンダースペース 第42回本公演

ポー、大鴉の夜、あるいは私達の犯罪

原作:エドガー・アラン・ポー  構成・演出:原田一樹

2021年2月24日(水)~28日(日)
劇場 東京・両国シアターⅩカイ 

https://www.youtube.com/watch?v=9kT7vGHgdnY&feature=youtu.be

結城雅秀さん「演劇レヴュー」チャンネルはこちら。

「ポー、大鴉の夜、あるいは私達の犯罪」についてお話してくださっています。


感想

両国シアターX(カイ)で劇団キンダースペース第42回公演「ポー、大鴉の夜、あるいは私達の犯罪」(原作=エドガー・アラン・ポー、構成・脚本・演出=原田一樹)

 暗号小説の草分け「黄金虫」、世界初の推理小説といわれる「モルグ街の殺人」などで知られる作家エドガー・アラン・ポー(1809-1849)。

 ポーは泥酔し路上で倒れたまま亡くなるのだが、そのポーが最期に見る自分の人生と作品群を交錯させたもの。

 ポーの妻であるヴァージニアとの秘密めいた関係も物語の骨子となっている。

 ヴァージニアはポーの従妹であり、13歳でポーと結婚するが、シシー(妹、sissy =sisterの俗語)と呼ばれ、24歳で結核のため命を閉じるが、生涯2人の間に肉体関係はなかったといわれる。

 ポーの作品には「アッシャー家の崩壊」「早すぎた埋葬」など生きながら埋葬されることへの恐怖がモチーフになった作品があるが、これには病弱だったシシーの死への恐怖が影を落としているのかもしれない。

 舞台にそびえるのはギリシャのイオニア建築のような亀裂が入った4本の柱。その下で展開する泥酔する男(ポー)と彼が幻視する物語。「黒猫」「アッシャー家の崩壊」…。虚構と現実は限りなく近づいていく。

「大鴉」というポーの詩をモチーフに幻想世界と現実の破局を交錯させた意欲作で、役者も熱演。コロナ禍での劇団力を発揮した。(演劇ジャーナリスト 山田勝仁様)


劇団キンダースペース公演「ポー、大鴉の夜、あるいは私達の犯罪」を観る機会を得た。

 舞台は古代の廃墟か、と思われるが円柱ではなく四角な柱で不均等に立ち、縦の切列が入っている。ポーの短編作品を舞台にのせている。しかしポー自身も常識を伴った分身を伴って登場する。人間の欲望や狂気、願望、悶絶など人間の闇で存在でき、作家によって作り出せれた人間模様が展開する。同時にポーの苦悩の生活が進行する。一つの物語が終わるとポーの世界へ、と思っているうちに物語とポーの苦悩は入り混じる。私たちは闇の中へ放り出される。

 作り出された虚構の世界は、他人ごとのように観ていられるが、現実のポーの苦悩は痛ましい。

 私はこの虚構の世界を、あの亀裂が美しく輝かせて鎮魂して終わるのを期待したが、構成・脚本・演出の原田一機氏は、厳しい。怒りに似た赤い稲妻で倒れたポー断罪する。作り出した人々の冷ややかな佇まいのなかで、大鴉の寂れた声の中で。

 キンダースペースの俳優たちは、日常でないこの世界をそれこそ渾身をこめて演じていた。いい劇団だなぁ。(小山内秀夫様)


両国のシアターカイにて、劇団キンダースペースの「ポー、大鴉の夜、あるいは私達の犯罪」を観劇。エドガー・アラン・ポーの年若の妻との幸薄い一生を軸に、作品数編を組み合わせた作品。ポーというある種独特な作家の生き様を描くにあたり今回はいつもに増して演出の原田氏の想いが強く盛られているように感じた。ラストは悩み多き現代を生きる戯作者への鎮魂に見え感動的だった。小生も表層的な平和には不信・不安を抱く天邪鬼であるからか、いたく共鳴した。ポーを演ずる森下君が渋い役どころを好演。ベテランはもとより、特に若手の頑張りが感じられた。休憩あり2時間超えの大作なれど、全編に緊張感あり集中して見入った。やはり劇場はいい。堪能した。(真田真様)

きょうシアターX提携、劇団キンダースペース公演の「ポー、大鴉の夜、あるいは私達の犯罪」(原作:エドガー・アラン・ポー、構成・演出:原田一樹)を観ました。江戸川乱歩は知っているが、その名のもとの作家は知らなかった。

1809年生まれのポーの生涯をたどり、書かれた作品を重ねその生き様を際立たせた芝居でした。

1836年年齢誤記で結婚許可を得たいとこで13歳のバージニアと結婚。その死を夢想し、書かれた小説を辿るように妻は24歳で死去。精神も錯乱するなか書き続ける作品。〔破滅の刃〕を振りかざし、自我の中にある恐怖を断ち切る愛を求めていく。

「新大陸」という侵略者たちの無謀な振る舞いに、命と暮らしを奪われていく現地の人たち。移民として凶悪な国を築き上げるさなかのアメリカの暗部を描く。ポーは1849年40歳で不正投票の陰謀に巻き込まれ死去。それは1868年封建体制を、半端な「資本主義」の国へ作り替えようとする日本再出発の一年前だった。

ポーの実人生と創作を往復する舞台。役者はそれぞれの能力を出し切り、このご時世のモヤモヤに一撃を与えた、見事な仕上がりでした。(日高のぼる様)


川口市西川口(並木町)にアトリエを構える劇団キンダースペースの第42回本公演が始まりました。初演の今日、墨田区両国のシアターXカイに行ってきました。「ポー、大鴉の夜、あるいは私達の犯罪」という演目でした。アメリカの1800年代の作家エドガー・アラン・ポーの実人生と作品の登場人物を対比させようというものであったようです。エドガー・アラン・ポーと言っても、その名前をもじったのが江戸川乱歩だ、ということくらいしか知らないのでエドガー・アラン・ポーという人物や作品「大鴉」についての予備知識をスマホでかじって出掛けました。

 観劇後の感想。まったく解らず。いえ、「まったく」は、言い過ぎです。昨年から耳が遠くなったせいもありセリフが聞き取れないため、分からないのかと思ったが、同行したかみさんも分からなかったとのこと。何が分からないかと言うと、一人一人の出演者がどういう役回りの人物なのか分からなかったからです。というのも、ポーという人物そのものと、作品に登場する人物が、ふたりいる。その妻も同じこと。そこのところがよく理解できていなかったためです。演技・演出は素晴らしい。破滅的な場面も含め圧巻の場面も多々。

 う~ん、これは、構成・演出の原田一樹さんにはめられたかと思います。帰宅してから原田さんの解説を見て、は、はあと思いました。ポーは、「最初の全てに、破滅の萌芽が含まれている」と、晩年に書いているとのこと。今、我々は、格差、貧困、環境破壊に直面していますが、1800年代、マルクス・エンゲルスによる共産党宣言が書かれた時代、リンカーン大統領の時代、ポーは資本主義の破滅を恐怖の物語として描いた、のかも知れないな。原田さんの解説とは違うが、そう思えてきた。もう一度見るともっと面白いな?おそらく、この作品は、エドガー・アラン・ポーという作家について研究し抜いた1級品の作品なのではないか、そう思います。(藤野泰弘様)

キンダースペースさんとのお付き合いも随分長くなった😊

主宰者で演出家の原田さんにはN LT公演の演出を何度かお願いしている。女優の瀬田ひろ美さんの僕はファンだ❤️

キンダースペースはさまざまなジャンルに果敢にチャレンジしてシッカリと結果を出していらっしゃる。

昨日の舞台もそうだ。ポーの破滅的な生きざまをミステリー風に仕立てた原田氏の手腕は相変わらず冴えている😊

見応えのある舞台だっ😊

瀬田 ひろ美さんはやっぱり魅力的だし、N LT出身の深町麻子もイイ間を持った女優さんに育っていて嬉しい😊(劇団NLT 川端慎二様)


『ポー 大鴉の夜 あるいは私達の犯罪』(脚本・演出、原田一樹)

19世紀前半のアメリカ南部の空気を感じながらポーの現実の生活と幻想の世界を行ったり来たり。観劇してから、思い出しては、宇多田ヒカルのクレムリン・ダスクをYouTubeで見たり、ポーの文庫買ってきて読んだりしていました。若い頃文学とは縁遠かった僕なりのキンダースペースの楽しみ方です。Nevermore、またとない時間と空間、ありがとうございました。(斉藤功様)


江戸川乱歩は子供の頃から読んでいて確かに面白い。…ような、気がする。けれど…。

当日パンフレットに演出の原田氏が記した文章

「ポー作品については「よくわからない」と聞くことが多い。「面白いと思えない」「話に入れない」。一度読めばその後は本が開かれない作家の一人、らしい」

まさにそう、そう!と思いながら、どんな切り口でポーを見せていただけるんだろうという期待と、イマイチ入れなかったら…という不安(比重やや多め)で開演ベルを待ちました。

舞台は彼の不幸な40年間の実人生と描かれた作品との対比で進行していきます。それらが呼応し合う事でポーの不安や孤独や苛立ちと作品とが溶け合っていって…

どこかよそよそしくて冷たくて無機質という印象のあったポーの作品にぐっと近寄る事が出来たような…生暖かい肉の感触。

いや…構成すごすぎです。

情緒を押し付けるのでなく、観客に自ら気付かせて揺さぶってくる。

ポーの作品を、美女の妖艶さや妖しい世界観ばかりで表現する舞台や映画はたくさん観てきたけれど、こんな舞台は初めてでした。

「人」のいる…「本物の生きている人」のいる舞台を観た嬉しさがありました。こういう舞台が私は本当に素敵だと思うし、大好きです。

作品中、ある2人の人物が対峙し

「挑発する」という言葉を発したシーンが印象的で、その人間像をさらに輪郭づけたように感じました。

今回もベテラン俳優陣の演技がすごく良かった。

芝居していない瞬間が記憶に残るなぁと改めて実感。

このご時世であれだけの公演を見事に成し遂げたこの劇団に改めて敬意を。(松村千絵様)


相方が音楽を担当している、劇団キンダースペース第42回本公演

「ポー大鴉の夜、あるいは私達の犯罪」(脚本演出/原田一樹)の初日を観てきました。

とても良い初日でした。ご覧になっていた皆さま、そう感じたことと思います。いつまでも鳴り止まない拍手。こういうご時世ですから、すぐ客席の明かりがつきましたが、もう一度役者さんたちに拍手を浴びせたかったと、そう思うような舞台でした。


エドガー・アラン・ポー。小学生の頃、夢中で読んだ江戸川乱歩。その名前は、エドガー・アラン・ポーに由来するのだということも、今回初めて知りました。そうです。何にもエドガー・アラン・ポーのことを知らないのでした。現代の推理小説の開祖と呼ばれているそうです(By ウィキペディア)

昨年末、私たちのYOUTUBEチャンネル(べらぼーちゃんねる)に脚本/演出の原田一樹氏にゲストで出演していただいたのですが、その時にポーに関してこう言ってました「変なやつだったんですよ、彼の死も謎めいていて、自分の服でない服を着ていて」

その時は、「ほほー????」と?マークを頭の上に乗せ、そのあと特に予習するわけでもなく、今回の観劇となりました。

原田さんは、ポーと、ポーの作品をリンクさせながら、ポーの生き様を描いていきます。そして、さまざまな場面や、登場人物も、重なりつつ、テンポよく進行していきます。相方の作った音楽も、舞台の中で生き生きと!

人の心の中にある、黒いもの。暗闇、見える闇、見えない闇、気がつく闇、気がつかない闇。そして、何に手を伸ばし、何を掴もうとするのか・・・・。ポーが欲しかったもの、私が欲しいものはなんなのか?

私が、観た後に、ずっと考え続けていること。
私の中に強烈に残ったセリフがあります。「・・・」

あ・・・(^o^)

これは、みなさんが、それぞれ感じていただいた方がいいですよね。

さざなみさんの、舞台美術、衣装も素敵です。照明も素敵です。

相方の音楽も頑張ってます。

今だからこそ、というか、生きている私たちだからこそ、

観ていただきたい、そして、今を、人間を、生きていくということを、考えたい。

そんな舞台。だと思いました。(松本泰子様)



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