キンダースペース演劇ワークショップ2022

 ここ数年のコロナ禍は「演劇」の基盤である人と人の交流とその連鎖を直撃しました。

 もちろん打撃は演劇界にとどまりません。

 私たちの日々の暮らしの大部分は、結局のところまだまだ「なま」で、テクノロジーに置き換えることなど出来やしない、

 という事がはっきりしました。

 もちろん今や「演劇」もテクノロジー抜きには存在しません。

 しかし「配信」や「リモート」はやはり「演劇」の本質からは遠い所にある気がします。

 これは「ライブ」であるとか「劇場の空気」「俳優の息遣い」ということよりも、

 人の「生」の一回性に関わることのように思われます。

 再現可能な画像や映像は私たちの人生が決して後戻りのできないものだという事を忘れさせます。

 「未来」を志向し「死」を遠ざけるのが「近代」の成果と言ってしまえばそれまでですが、

 それならば「古代」に生まれた「演劇」は常にこの「一回性」つまり「生まれては消えていく」

 ということを肝に銘じて付き合うべきものなのかもしれません。

「古代に生まれた」をもう少し正確に言えば「演劇」は「言葉」の発生と同時にありました。

ある学説によれば「言語」は先ずコミュニケーションとしての「日常言語」が生まれ、そこから「詩」が派生したのではなく、

おお元に「詩」があって、そこから日常に適応する言語が生まれたそうです。

「私はかもめ」という比喩が先で、次に「私」「かもめ」という名詞、「は」という助詞(英語では動詞)が機能した。

これは言語学の話ですが、この「詩」を「台詞」と置き換えてもいいのでは、と、演劇人は考えます。

「台詞」も又そこにはない「何か」に向かって発せられるからです。




 今年度のワークショップも、コロナ状況がまだ予断を許さない中、モノドラマワークショップを二回開催します。

 ここで扱うのは我が国の近代文学の「言語」です。「テクノロジー」が「人間」を追い越しだしたのが近代とすれば、

 その違和感の中で作家たちはどう「文学の言語」を紡いだのか、それは私たちのどこにどのように響くのか、

 一緒に探していきたいと思います。

 連続ワークショップは、状況によりリーディング形式となるかもしれません。

 その場合でも「関係」の一回性に身を置くことを基本に「演技」の根本について探っていきたいと考えています。

 「俳優」は空間に立ち「台詞」を口にしたときに初めて「俳優」となります。その「瞬間」は生まれては消えていくものです。

 「演技」の「稽古」とはこの瞬間の「再現」のためにあるのではなく、毎回「生きる」ためにあるものです。

 今年度のワークショップでは特にこの「一回性」を意識しつつ進めたいと考えています。


モノドラマワークショップ2022 Ⅰ Ⅱ

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「モノドラマ」は「一人芝居」ではありません。

「一人芝居」では俳優は、戯曲によって定められた設定の中で一つの「役」を演じます。

「モノドラマ」の場合はその設定自体を俳優が作り上げ、登場する何人かの「役」も一人で演じ分けます。

また「文学」を題材としますが「朗読」とも異なるものです。

「朗読」は「活字」を前提とし「解釈」によってフィクションを立ち上げる、その瞬間をみせるものですが、

「モノドラマ」では「俳優」自身が「活字」となってフィクションを「生きる」ことが求められます。

「解釈」ではなく「存在」が求められます。




連続ワークショップVol.62「もう一つの目線」

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連続ワークショップは毎回のテーマに沿ったいくつかのテキストから、初日の本読みの後、登場人物を選択、

劇団の担当メンバーとチームを組んで稽古と発表を重ねるものです。

テキストはギリシャ劇から現代演劇まで。基本的に戯曲の一場面です。

「台詞」はただ「言いたいこと」を発語するものではありません。

観客は常に「台詞」では言い尽くせないこと。「台詞」の裏に隠されたことに耳を澄ましています。

「ドラマ」は「台詞」にではなく「存在」によって紡がれるものだからです。

「存在」はまた「もう一つの目線」に晒されているものです。

※状況によりリーディング形式になる可能性があります。


  各回、キンダースペースが現在、地域や学校で行っているワークショップやエクササイズなども紹介し、進行します。

  募集は各回ごと。一年、あるいは複数回の舞台経験者が対象です。


  時間/19:00~22:00

  費用/24,000円

  定員/モノドラマワークショップ:8名 連続ワークショップ:12名


  申し込み方法

 

  post@kinder-space.com 宛

  ●氏名 ●年齢 ●職業・所属 ●住所 ●電話 ●FAX ●メールアドレス

  をお伝えください。※定員になり次第締め切りますのでお早めにお申し込みください。


  ※劇団の事情により日程や条件が変更になる場合、応募者には早めにご連絡いたします。ご了承ください。


  ★ワークショップ2021までのアーカイブはこちらをご覧ください。



新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、密にならないよう工夫をしながら開催いたします。
・スタッフは常時マスク着用、検温・手指消毒を徹底します。
・アトリエ内の用具、手すり、蛇口などの消毒、定期的な換気をいたします。
・必要に応じて演者と見学者の間、演者と演者の間にビニールシートを設置いたします。
・参加者の皆様にはマスクの着用、体温測定、手指消毒、ソーシャルディスタンスの確保のご協力をいただきます。



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