劇団キンダースペース 紹介
■キンダースペースは、自らのテーマに沿った公演の上演を継続、芸術表現活動を続けてまいります。
また一方で、公共性を持つ地域の劇団として他地域にも赴き、その独自性に基づく演劇活動方法を提案・実現出来る演劇人集団として、創作意識の深化と、人的育成機能の拡充を進めてまいります。
■活動目的
演出家、原田一樹のオリジナル演出作品の創作、上演。リアリズムを主体とする、既存の戯曲、翻訳劇、小説、文学作品の劇化、翻案、上演。アトリエにおける、レパートリーシステムでのキンダースペースオリジナル作品の、ロングラン上演。オリジナル創作作品の地方、海外公演。作家・演出家・舞台スタッフの育成(原田は、高校生戯曲コンテスト・演出家コンクールの審査員を務める)俳優訓練のためのアトリエでの年間を通じたエクササイズ。(ワークユニット)一般向け公開ワークショップ。劇団員のための非公開ワークショップ。地域の公共ホールでのワークショップ、作品創作、公演演出、劇団立ち上げの指導、企画立案、アドバイス、提案、協力。より多くの方々に演劇を楽しんで頂くための地域市民との演劇を通じた交流。
■公演活動
キンダースペースは、その演劇活動がわが国及び海外のリアリズム演劇の系譜の上に立つという認識の元に、演劇制作の専門集団として、脚色及び演出家原田一樹のオリジナル作品の創作公演と、リアリズム演劇の専門俳優の育成とを軸に、主催事業を行なってまいりました。
2001年からは、近代リアリズム劇としてとらえなおされたギリシャ悲劇を上演。殺人にまで至る人と人の葛藤を、自我が崩壊に至る近代的なアイデンティティーの喪失と重ね合わせ、対立する人間像を描きました。この「対立」はいわば西洋的思考の根本であり、この思想によって個人というものが生きていることが、そのまま演劇のドラマになるわけです。今後はこれらの作品の創作による経験をふまえ、「日本人」という固有性について問い返し、表出していきたいと考えています。
近代以降、日本人のアイデンティティーはどのように出来上がったのか。日本人という国民はいつ現われたのか。それ以前の日本人とはどのような存在で、その何を我々は内面的に受け継いでいるのか。現代の日本人を作ってきた最も大きな要素は何であるのか?
そういった問題に切り込み、また深い所で応え得る作品を、いわゆる「新劇」といったわが国独特の演劇の潮流から少し離れた系譜の中から択り出し、演出、創作表現していきます。俳優たちにおいても過去三年間の作品制作の過程をふまえることで、演技においても「日本人」というものに対し距離を持った、批評的なアプローチを求め得ると考えます。
世界を巻き込んでいくグローバリズムの流れの中で、私たちが独自であり、同時に諸外国の芸術作品と拮抗し得るものを作り上げるには、自らを掘り下げることを除いてはありえません。また、これがそのまま安易に日本的なるものへの回帰とならないための創作上の立脚点を持つことも重要だと考えます。
■市民交流活動
キンダースペースでは、「ワークショップ」を通して、地域市民との「演劇」を通じた交流を続けています。
ワークショップは、演劇の基礎を通じた出会いの場です。
この出会いは、他人との出会いであり、自分との出会いであり、その二つの作る関係の発見と、そこに眠る想像力の解き放ちです。
残念ながら、わが国には音楽や美術のような演劇の初等教育というものはなく、欧米などでは学校で行なわれるこれらの時間を経験することはありません。キンダースペースで行なうワークショップは、「人間」を見つめ、自分を知り、他人を知り、その関係の中に生まれる、様々な変化に感性の目を向けるという、いわば演劇のための教育ではなく、演劇による教育です。これは私たちの想像力を刺激し、私たちが普段見逃している、人と人との交流の意味について気づかせてくれます。
また鑑賞する、見方・聞き方を学ぶということも、確かに文化を享受する一つの方法ですが、参加する、ともに表現を作り上げるという形でこれが出来るのも、演劇ワークショッブの大きな特色です。
そして、これは同時に、舞台における演劇表現の「基盤」ともなるべきものです。
私たちのワークショップは、私たちの演劇の独自の方法を伝えるものではなく、演劇というものを追求していくなかに普遍的に存在する、人の心を開放し、感性を豊かにしていく働きを取り出したものです。その意味で、優秀な演技者や演劇エリートを生み出すものではありませんが、魅力的な俳優は、ほぼ間違いなく、魅力的な人間です。
私たちはこれまでの経験で、ワークショップや地域始動型の公演に向けての稽古を重ねていくにしたがって、参加者の眼が輝きを増し、そこで行なわれていることの一瞬も見逃すまいと、同化してくる段階を知っています。そして私たち自身も、このワークショップの中に、私たちの演劇の未来があると信じています。
またそのためのワークシッョプ指導を行なえる人材の育成も平行して進めております。
■後進育成プログラム
また、西川口のアトリエを活かし、劇団員以外のプロの俳優達の鍛練の場として98年度より「ワークユニット」を立ち上げました。養成所や演劇学校のような指導を「待つ」体制ではなく、自分たちがプロの俳優として活動していく為にどのような方法があるかを追求するための「場」の提供をしています。メンバーは火曜日から土曜日の午前中アトリエに集い、自分たちで作成するカリキュラムにそって日課をこなしています。なによりも自主性を重んじるこのワークユニットにおいて「何ができるか」を日々追求しています。
■後援会
キンダースペース後援会には、
劇団の同志&友人として、劇団を支援していただくことを目的とした【賛助会】
キンダーの芝居の感動のひとときを共に楽しんでいただくことを目的とした【友の会】
の二つのシステムがあります。
この会の設立は、私達の活動が少なからず認知され、また同時に、私達のような演劇人の今の世の中での役割について、より意識を持って臨めという大きなエールを受けたことであると思っています。
今後、どのような展望を持って演劇活動を続けていくか、具体的な内容についても後援会の方々の御提案・アドバイスをいただきながら進めて行く所存です。