劇団キンダースペース 第24回公演
シアターX[カイ]提携公演
『えれくとら』
 ユージン・オニール「喪服の似合うエレクトラ」より


翻訳 常田景子
構成・演出 原田一樹

文化庁・日本芸術文化振興会 舞台芸術振興事業

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劇評 舞台写真

上演にあたって

『喪服の似合うエレクトラ』は、アメリカのノーベル賞作家、E・オニールが1931年に書き下ろした戯曲作品です。1865年〜66年アメリカ・ニューイングランドを舞台にしたこの作品は、ギリシャ悲劇の作家アイスキュロスのオレスティア三部作の構成と人物配置をほぼそのままたどってはいますが、優れて現代的な人間の自我の確立への欲望とその崩壊を描いています。
 現在、アメリカを中心とするグローバリズムは、かつては対立していたほとんどの先進国を一体化し、その最後の敵対者を正義による戦争という手段によって(これが戦争と呼べるものかどうかは疑問のあるところですが)破滅の一歩手前まで追い込んでいます。
これが完成した時、次に我々を待っているものは何でしょうか?
 この物語の主人公であるエレクトラ(劇中ではラヴィニアというアメリカ名になっています) もまた、父を死に追いやった母への復讐という正義の名の元に、戦場より帰還した弟を駆り立て、母の愛人を殺させ、母自身も自殺に追い込みます。しかしこの行為は、母殺しによる弟のオリン(オレステス)の崩壊のきっかけとなり、彼もまた自殺させることとなります。マノン家の荘厳な建物とともに、その一族の最後の一人となって残されたラヴィニアは、自らこの死者の家に入り、外から封印させることを召使に命じます。
 もし、私たちが最後の勝利者となったとき、私たちはラヴィニアのように、私たちの罪を自覚するのでしょうか? その欠片さえ自覚できないとしたら、私たちは、次にどのような日常を送り続けるのでしょうか。
 『喪服の似合うエレクトラ』は悲劇というものの本質を、きわめて現代的なかたちで、またギリシャ悲劇の普遍性をもって、我々の前に提示する作品です。

演出 原田一樹



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DAY

STAFF

2002年12月11日(水)〜15日(日)
 11・12日 19:00〜
 13・14日 14:00・19:00〜
 15日 14:00〜

シアターX(カイ)  &03-5624-1181      
前売券  3800円 [当日券 4000円]
ペア券  7000円 
2回割引券 6000円
養成所券 2800円
学割券  2000円

翻訳 常田景子
構成・演出 原田一樹

美術/松野潤 
照明/森田三郎 久富豊樹
音楽・音響/熊野大輔 田島誠治(KOOL Stage)
衣裳/小池れい
小道具/高津映画装飾(株)
舞台監督/北条孝(ニケステージワークス) 
印刷/時の美術社
制作/白沢靖子 村信保 
協力/キンダースペースワークユニット 
キンダースペース友の会

CAST

ラヴィニア

古木杏子

クリスティン

瀬田ひろ美

オリン

鈴木貴紀

エズラ・マノン

内山森彦
(コスモプロジェクト)

セス

うえだ峻
(フリー)

ピーター・ナイルズ

川野誠一
(劇団大樹)

ヘイゼル・ナイルズ
アニー

小林元香   福寿直子
       
(スターダス・21)

アダム・ブラント

泉龍太  岡野暢
     
(フリー)

ミニー
ボーデン夫人
コロス

深水みゆき
(the 30's)

ルイーザ
ヒルズ夫人
コロス

加藤奈緒美
(フリー)

ボーデン
スモール
コロス

平野雄一郎

ブレイク
ジョウ
コロス

仲上満

ヒルズ
マッケル
コロス

坂上朋彦

エイモス
コロス

斉藤貴司


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もうすぐ初日ワークショップ
            参加者からのメッセージ

※キンダースペースでは毎回の公演稽古中、演出家・原田一樹を中心に、上演作品を通しての芝居作りの行程や作品の紹介、また演劇そのものの持つ魅力についてなど、演劇をより身近に感じていただく為の無料のセミナー形式ワークショップを行っております。

初体験!! 
投稿者:瑞穂(友の会)  
投稿日:11月30日(土)00時39分06秒

やっと今年中に実現できた!!
初めての参加でしたが、「えれくとら」はいつものようにただ観劇するだけではなく、違う見方ができるかな?
とにかく原田さんのお話結構ウケた!!

急いで登場! 
投稿者:ともぞ  
投稿日:12月 2日(月)23時14分48秒

原田さんのお話はいろいろ今も考えたりしちゃうくらい面白かったです。
自分の存在を確かめたいって気持ちって普遍的なものなんですね。
原田さんのお話を聞いていて、歴史なんかずっと嫌いだったけど、ちょっと本でも読んでみるか(笑)という気になりました。そんなこんなで、えれくとら、楽しみです☆ 

楽しみです。 
投稿者:武田直樹  
投稿日:11月30日(土)09時46分02秒

昨夜はありがとうございました。
楽しかったです。これから
日本の劇団が、演劇界がどうなるか、
楽しみです。これからどう動き、どうかかわり、どんな作品を届けていくのか、現実と理想と自分と他者との
折り合いをつけながら活動していきます。

いってきました。 
投稿者:みやっち(友の会)
投稿日:11月30日(土)00時53分54秒

私も原田さんのお話と白○屋で色々な話を聞く事がで気ました。原田さんのお話は小学校のとき先生から聞いたときのような気分でした。
こういうと誤解を招きますが、小・中学校では先生から
「僕はこう生きてきた、君たちにはこう生きてほしい」というメッセージをよく聞かされて、夢や目標を立てたものです。
普段の生活では「どう生きるか、何のために生きるか」ということを完全に忘れていました。もちろん、愛されることは大切ですけどね。

アリガトウございました! 
投稿者:縄(友の会)
投稿日:11月30日(土)16時54分06秒

原田さんの独特なお話を堪能しました。
ギリシャ時代の神とは、神と人間の関係、人が人を殺す、個の確立、時代背景と宗教の変化、現代日本の演劇の状況とキンダーのスタンス、その他、中身の濃いお話を解り易く聞かせて頂きました。
ありがとうございました!

追い込めぇ〜 
投稿者:かおり  
投稿日:11月30日(土)02時25分30秒

「もうすぐ初日ワークショップ」、ありがとうございました。ほんと盛況でしたね。初めて写真撮られたよ。(笑)
これから追い込みですね。しっかり追い込んでくださいませ。アフターワークショップも楽しかった。

えれくとら 
投稿者:Sr.Toshi. (友の会) 
投稿日:11月30日(土)01時49分51秒

ギリシャ悲劇についてはほとんど無知に近い私です。
今日、ベースとしてとても参考になりました。楽しみにしております。

11/29

「えれくとら」アンケートより
とても骨格のしっかりした見ごたえのある芝居でした。長時間であったが時間を感じさせなかった。装置・音楽・衣装・照明もなかなかすばらしかった。おつかれさま。ありがとうございました。(男性) 正直、こんなにシリアスな舞台を観たのは初めてなので何と言っていいかわからないのですが、とにかく次の展開が気になって仕方がありませんでした。自分もその場に一緒にいるような感覚ですごく緊張しました。オリンが自殺する場面とヴィニーが家に閉じこもる場面が凄く印象的でした。
(俳優 男性)
神を失っていながら、神を信じない、という形で、神を信じている以上に神に縛られている人達、という辺りの圧迫感が非常に鮮明に表された作品だなと思いました。
また、キャラクターを滑稽なまでに単純化し、ディフォルメしていたところが、舞台を客席からわざと離し、孤立したものにしたこともあいまって、まるで人形劇のような閉鎖的なおかしさと不気味さをかもし出していて、非常に興味深かったです。どうもありがとうございました。(俳優 男性)
近代の終わりと、一族の歴史の終わりを大量のせりふで丁寧に重ね塗り的にうまく描いた。【南の島】は前近代の象徴でしょうか? 知的に構成されていながら、十分に潤いもあり、楽しめました。(会社員 男性)
お父さんの人柄が最初はイヤな人なのかと思っていたのに、その人の登場から人柄が誠実な人なんだと思い、その人とやり直せないクリスティンがかわいそうだった。最後までヴィニーが屋敷とマノン家にとらわれていて、開放してあげたいと思った。(学生 女性) 今回の作品は自分にとってよいお話だった気がします。それと舞台セットが素敵で良かったです。音も好きでした。これからもこのような深い作品作りに期待しています。
(女性)
とても人間の心の奥深い部分をついていて、すごくドロドロした内容ではあるのに、すごく好きです。何とも言えない(言葉には表せない)ほど、すごくよかったです。お疲れ様でした。(学生 女性) さすがに人間というものを考えてしまいました。人の心の中に必ず入っているものだと思います。愛が深いほど、また人は憎しみも深いものだと思いました。今日は来てよかったです。とても面白かった。(男性)

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パンフレットより   演出 原田一樹

作家と作品について。

 ユージン・オニールは、1888年にニューヨークに生まれ、大学を停学になって後、24才で結核を発病するまで、水夫などの職を転々とし、波止場での浮浪者生活なども経験、その後大学に戻り、本格的に劇作をはじめたのは1916年以降、『喪服の似合うエレクトラ』は、29年から30年にかけて書かれた戯曲です。
 この戯曲は、ギリシャ悲劇の「オレスティア」を原作とした三部構成をとっており、一つの家族をなす四名の主要な人物、コロスに照応する町の人々等、原作の構造を辿っていますが、描かれている内容はオニールがテーマとしてきた個人の自立への葛藤であり、それが南北戦争直後のアメリカを舞台に描かれている訳です。
 また、彼がピューリタニズムの作家といわれるのは、描出する人物が宗教改革と産業革命を経て近代へと向かう個人、つまりそれまでの教会の支配からのがれ、神と対面する一つの自我意識を背負った個人として現われるからですが、これが『喪服〜』の場合、ギリシャ悲劇の人間観――人は罪を犯すものであり、その罪と向き合うことが宿命であり、その時に人の真価が問われる――という命題と呼応し、自らの欲望や情念による行動とモラルや正しさという概念の間で引き裂かれ、最後には崩壊を迎えるものとなっています。
 しかし一方で神を失った人間は、他者によって認められるということでしか自らの存在理由を見いだせません。その認められ方は、時には社会的な地位や財力、他者への影響力であり、また時には個と個の間の情愛や信頼であったりしますが、これらを補完するものが言葉である以上、不確かなものに変わりはなく、従って、それを圧倒的に確かめたいという欲望が強ければ強いほど、崩壊への道をたどらざるを得ないこととなります。
 今回の『えれくとら』において、私たちは以上のような視点において、『喪服の似合うエレクトラ』をテキストレージし、そのまま上演すれば全編で6時間を超えるオニールの
作品を一晩の上演による3時間弱のドラマとしました。
 父親のマノン、母親のクリスティンという近代の人間の相克のなかで物心のついた現代のエレクトラ=ラヴィニアという子供の、早急な自己の確立への欲望と葛藤、そして崩壊の物語としてとらえたのです。
 もちろん物語それ自体はアングロ・サクソンの作家であるユージン・オニールの視点と世界観によって貫かれた物です、が、ドラマの背景である南北戦争後、一世紀半を待たず唯一の資本主義大国へと変貌した米国によって提唱され、今や世界を席巻しつつあるグローバリズムという流れの中、神も個人もなく、曖昧な共同体の中に生きてきた我々日本人の近代にも突き付けられる問題であるはずです。
 私たちが近代化への道を歩みはじめた明治維新は、物語の設定のほぼ同じ時期にあたります。私たちは、その後の罪と罰の源を辿る事無く現在を過ごしています。
 その我々に、次にくる運命はどのようなものなのか? 答えを求める事無く、日常が続いている気がします。