劇団キンダースペース 第45回本公演 k#101

新・復活 2024

原作レフ・トルストイ 翻訳・脚色島村抱月 上演台本・演出原田一樹

無事に幕をおろしました。ご来場、応援ありがとうございました。
皆様からいただいた感想舞台写真です。
↓ スクロールしてお読み(ご覧)ください。

 
公演中ロビーにて行いました「能登半島地震 七尾市災害義援金募金」には
45,145円の義援金が集まりました。
2日(土)アフタートークの際に翻訳本「かもめ」を提供していただきました
内田健介様からは売上を全額寄付していただきました。
ご協力いただきました皆様、内田様、本当にありがとうございました。
責任を持って「七尾市災害義援金」口座に送金いたします。
【SNSでいただいた感想より】

・いったい何を見せられたのか、何に心揺さぶられたのか……妻の前で土下座したことのある我が身としては…いたく刺さった物語でありました。人が人を想う、恋とは?愛とは何でありましょう。償いという言葉がその対象のパートナーに何の意味もなしえないという切ない繰り返しが涙腺崩壊のようなことになり…どちらの立ち位置もわかり過ぎて切なかったです。いいものとはそういうことで、自分の中のもやっとした解決のつかなかった感情に一つの共通理解やよくあるこたなのだと追体験することができたことが大きな収穫でした。20年以上キンダーを身近に見て来た身としては、コロナ禍の試練を力に原田氏が表現の可能性をアトリエで切磋琢磨し、あの空間でさらに秀逸な劇時間を組みたていたことに驚きに近い快哉を禁じ得ませんでした。キンダーの役者の熟成も目を見張るものがありましたが、それよりも今回は示された物語の深さや矢印の鋭さに…感動しました。いい劇団になりましたね!って私がいうのも変ですが、なんか嬉しい気持ちで帰路に着きました。また楽しみが増えました(20年来応援してくれている音楽家のM氏)


・初めて憧れの劇団キンダースペース公演に出演させていただいた作品。初演から大胆に変わっていた部分もあり、すてきなシーンはそのままに、2時間半あっという間で、その世界にどっぷり浸かって楽しめました。オープニングの壮大な音楽から何か始まる予感にワクワク、これは初演の時と同じ、和田啓さんの名曲。人と人との関係性がよりはっきり見えて物語に深みを増していてとても面白かった。島村抱月と、松井須磨子、そして抱月の妻、市子との関係性、ネフリュードフとカチューシャ、シモンソン、ヴェーラ。空間に人の「思い」が漂う芝居はとても良い。シアターΧの舞台上が遥か広大なシベリアの大地に見える、空間を旅する感覚。舞台上に自分の身体があるんじゃないかと思うほど近くに人々の匂いを感じたり、ぐーんと後ろに引っ張られて俯瞰で見えたり、この世界に巻き込まれて連れて行かれるゾクゾク感。カチューシャとネフリュードフが対峙しながら、自分の内面とも対峙して言葉を交わすシーン、人はどれだけ本当の心を言葉にするのか、何を伝える事を瞬時に選ぶのか…何だか胸苦しくなる、とても素敵なシーンだった。市子と抱月の対峙シーンは市子の視線が哀しくてこれも印象的なシーンだった。ヴェーラの信念を持ってスッと居る感じも素敵だった。(松村千絵様)


・今回、構成を大きくリライトし、よりわかりやすく、描こうとしていた世界がぐっと具体的になった気がする。トルストイの「復活」のステージを見ていると、カチューシャを演じている須磨子になる。シーンが切り替わり、芸術座の稽古シーンとなる。そうした仕掛けがあることにより、見事に抱月・須磨子の世界と融合していた。観ながら、「復活」というタイトルに思いを馳せた。ネフリュードフにとって、カチューシャにとって、抱月にとって、須磨子にとっての「復活」とはなんだったのか。劇中に何度も登場する復活祭。「キリストは蘇り給えり」調べたところ「復活」とは、やはりキリスト教では特別な意味となる。イエスが蘇ったことを指し、また善行をした者も悪行をした者も、最後の審判の日には全ての人が復活するとされる。音楽は和田啓さん。いやぁ、素晴らしかった。場面、場面で、登場人物の心情や空気感を効果的に表現していて引き込まれた。「新・復活2024」、キンダーの代表作と言える舞台だったのではないかと思う。(栗田かおり様)


・♬カチューシャかわいや/わかれのつらさ/せめて淡雪のとけぬ間に/神に願いを/ララ/かけましょか〜松井須磨子=古木杏子の挿入歌を聴けるのを楽しみに、千穐楽の舞台に観入りました^ ^ 1914年に公開された芸術座の「復活」、カチューシャを中心とした悲恋物語。ラジオも無く、蓄音機も普及し始めた時代に劇中の挿入歌として、レコードを2万枚売り上げたという脅威の記録を残しています。劇中劇という手法で観せていただき、トルストイの良心と、抱月の近代化の精神の行方を、この芝居からたっぷりと感じました。110年前から今日までの演劇の歴史の上にしっかりと立っていることを、誇りに思う芝居ありがとうございました♪(日高のぼるさん)


・役者達は次々と異なる役柄に扮し変幻自在!原作トルストイの時代と近代を引き合いに、利己から利他へと感情の変化を男女の悲恋物語で描写している。劇中、抱月の放った言葉が胸に刺さる「僕の理想だ!」 舞台は奥行きの深さを最大限に上手く利用している演出で、映画で言うトランジションのような印象的な転換と、演技を下支えする音楽によって上演時間2時間30分もあっという間でした。アフタートーク(原田一樹×和田啓)も、演劇と音楽の関係性に興味が尽きませんでした。(石井信生様)


・舞台装置、美術が全てを表すかのように、シンプルでありつつダイナミック。そう広くはない舞台上に段差をつけ、上手前の客席の中に飛び島の台もあって世界が広がる予感がしました。カチューシャ・ネフリュードフを軸にするトルストイの世界と島村抱月・松井須磨子を軸にする芸術座の世界が一瞬でスムーズに切り替わりました。ロシアから芸術座への切り替わりは、観ている側がふっと我に帰る感じ。開演前にパンフレットで原田一樹さん(上演台本、演出)の「抱月の「近代」」を読んだのですが、「無理」という言葉が繰り返されている意味がよく分かりませんでした。『復活』の内容に最も近いところで見れば、「愛を無理に自己に課す」という表現。舞台を見て考えたのは、ネフリュードフがいかに後悔し、懺悔し、「復活」への道を歩もうとしても、結局は貴族の「無理な正義感」「無理な善意」、思い込みの域から出られない自己中心の行動だったのではないか、ということ。思い込み、幻であっても愛はあったに違いない。憎しみを消しきれないカチューシャにも、忘れられない愛があったはずです。しかしネフリュードフではなく、シモンソンを選んだのは時代的背景があってのことでもあるでしょう。抱月も須磨子に対して、ネフリュードフと同じような思考回路だったように見えます。

人は結局、自分の思考回路、自分の観点でしか物事が見えないのかもしれません。愛しているという感覚も、「相手のために」行動しているという自己評価も。俳優さんたちがそれぞれの配役で安定した演技を見せたことで、観客は難しいテーマと長時間の舞台に向き合えたと思います。カチューシャ役の古木杏子さんの哀しげな気高さ、アグラフェーナやイチ子役の瀬田ひろ美さんの要としての存在を始め、どの役の登場も楽しみでした。たくさんの役を兼ねて、裏での早着替えは大変だったことでしょう。和田啓さんの音楽は細やかに優しかったと感じました。アフタートークで言われていた「下支え」や「逆行」も含めつつ、役者とセリフに良い意味で寄り添っていたと思います。とにかく台本を書いて演出する人(もちろん原田さん)が深く勉強し、考え、想像したことを思わせる舞台。当たり前のことだけれど。この感想は、「俳優でも音楽でもなく、物語だけが残ってほしい」という原田さんのアフタートークと矛盾することではないと思っています。昨今、この当たり前のことがなされていない安直な舞台が多い。自戒としても銘じておきたいことです。中身の大きな、優れた舞台を見せて頂きました。成長していく劇団を見た思いです。(多和田さちこ様)


・トルストイの「復活」と明治の文人・島村抱月の人生そのものが重なる編集で、休憩時間、舞台と現実が一体化して頭が混乱してしまった。お客さんが舞台の人間と同じく見える。俺もその一人。凄いなぁ、原田一樹ワールド、そう言うしかない。しびれた。トルストイ読もう。(藤野 泰弘様)



・トルストイの「復活」と新劇運動の先駆けと言われる島村抱月と女優、松井須磨子の生き様をクロスフェードというのか、重なると言うのか、折合わせていくと言えば良いのか何となく世阿弥だったかな?「環境と自己のあわい」という言葉が浮かんだのでした。いや、10年以上ぶりにお芝居観た奴が語るなよって感じなんだけど、とにかくこのクロスフェードとかあわいの部分が自然だし、お話も面白かったのです。最後に一言「公爵様を何度か蹴り飛ばしたくなったわ❤︎」(境谷 真佐子様


・率直に、ズバリ申し上げてひどく感動しました。役者も達者でしたが、なによりも演出がすばらしい。異なる時代と空間と、そこでの動きとを、間断なく、見事に、しかも違和感を感じさせずに展開させた手腕には感服の一言につき、両手をあげて、見事だと、大声で叫び、足を踏み鳴らしたいほどでした。久しぶりの感動でした。(中條忍様)


・昨今の、アニメを下敷きにしたようなお手軽なものではない、生きた人間を描いた作品。そこに抱月・須磨子を入れ込んでくるとは。劇中、何度も昔見たチェーホフの三人姉妹の最後のセリフ「生きていかなければ…」が思い出され、人間というのは何と底力のある奥深い生き物なのだと感心しました。AIにこの人間の複雑さ、矛盾、愛の多様な形、絶望からの復活が理解できるのか?生成できんのか!と鼻息荒くしました。お芝居や小説や映画は狭い世界で生きている私たちに、他の無限の世界を観せてくれるものです。そこから今自分の目の前の現実にはいない人間の心の機微を知り、学び、それを自分の人生にフィードバックさせる大切な授業。これからもよいものを作っていって下さい。(泉麻子様)


・まるまる二つの公演をたっぷり観た気分で満足です。古木さんが演じるカチューシャと松井須磨子を軸にして、ネフリュードフと島村抱月というそれぞれの男の、どちらかというと哀れな恋心が伝わってきました。裁判や服役の場面にも強い興味を覚えました。帝政ロシアの司法制度はひどいものだったようですね。今のロシアも同じようなものでしょうか。キンダースペースの公演はいつも観終わったあとにもう一度観たいと思うのですが、今回もすぐにまたもう一回観たいと思いつつ会場をあとにしました。(T.K様)


・舞台装置がいつもの立体的な流儀で一見して原田さんの芝居だなと感じました。ひょっとして狭い日本(の社会)と広すぎるロシアの対比をどう出そうかと熟慮されての俳優の舞台での動きもあったのかなと感じましたが、、、 須磨子とカチューシャの二面生、豹変する演技は素晴らしかったですね。抱月が須磨子を「理想」という場面もゾクっとしました。近代の日本とロシアがダブって見えるのが刺激的でした。まったく今の日本でも同じことがあるわけですよね。たとえ偽善的な行い、原田さんの言う「無理」であっても、人がしなくてはならないものとは、一体なんだろう、とずっと考え込んでしまいました。(佐久間康夫様)


・客席に入ってまずびっくり。舞台全部に段差が半端でない装置を作り、客席にはみ出した舞台は観客の顔の高さの台!観客席も俳優達の出入りにして、劇場全体を巻き込む原田一樹氏の演出手法と相まって劇効果を生み出す。トルストイの「復活」を島村抱月が、松井須磨子を起用してヒットさせ、「カチューシャかわいや」の挿入歌が流行した。原田台本・演出では抱月自身が不倫相手の須磨子との葛藤と、カチューシャの愛の為生きる全てをかけるネフリュードフが重なる。報われない無理は、段差のある舞台では間には深い淵や闇がある事で強調される。それでもラストシーンでは舞台中央に枯れ木が立つ。あの樹が芽を出し生きていつてくれないかと、観る者は思い抱く。俳優陣は素晴らしい作品を創り出してくれた(小山内秀夫様)


【アンケートより】


・内容、演出、演技、最高でした。歌舞伎座やここ最近観た映画より10倍以上面白かったです。(40代女性)


・久々にTHE演劇という感じを受けました。(女性)


・奥行きのある舞台の使い方がとても素敵で魅了されました。(女性)


・それぞれ迫真の演技で、最後まで飽きずに見ました。テレビなどでは得られない満足感を感じます。(70代女性)


・もっとトルストイとか今の人観るべきですね。原田さん素晴らしいーと勉強になりました。愛だなー(男性)


・全ての質が高く憧れます。


・列車出発のシーンから涙が止まりませんでした。最高のお芝居を見られました。


・役者の方々の表情ひとつひとつから、場転、音楽、衣裳など、全てにおいて、ひたすら世界観に圧倒されていました。どれだけ真っとうに生きてもままならないこと、自身も経験があり、タイミングや考えとても替えさせられました。また来たいです。(20代女性)


・それぞれの気持ち、思いが本当に心にあるような気がして、全てのシーンが素敵でした。(男性)


・場面が次々と切り換わる疾走感あふれる舞台でした。原作も読みたくなりました!


・作品と抱月側と二重構造で、「愛」を多重(角?)的に追求してよかった。70代男性)


・「復活」は、トルストイの原作映画(タヴィアーニ兄弟)、宝塚の舞台など見ていて、消化しきれていなくて、今日、島村抱月、松井須磨子との話と二重構造になっているという脚本にひかれて見に来ました。音楽の方とのアフタートークもきけてありがとうございました。40代女性)


・島村抱月の脚本で、というので観に来た。トルストイ、抱月の評価、抱月と須磨子について、人間とは、など多くの要素が盛り込まれていた。カチューシャの唄は不自然というお話だったが、大正時代の音源を聴くと判るが、〇〇節という類が多く、カチューシャの唄は圧倒的に新しい。抱月は、文学、演劇だけではなく、美術、音楽、建築、造形にも交流、発表の場を与えて、創生の機会を与えた。ので、カチューシャの唄、認めてあげてください。


・トルストイとほとんど縁のないやからにはやや難解な部分もあったが、一途の愛は心に沁みるものあり。トルストイのヒューマニズムの色合いは十分に感じられた。抱月の騒動は十分に理解できた。浮気できる男は幸か不幸か!(70代男性)


・「カチューシャかわいや♬」と、昭和4年生まれの母が唄ってくれたことを思い出しました。この曲調と、「復活」から受けとるものは全く異なると思いました。抱月、トルストイが求め表現したいと、大衆の受けとめるそれは全く異なり、それは、復活したい公爵と、過去を過去としたいカチューシャとの壁でもあると思いました。どこまでが志、希望で、どこまでがエゴなのか、考えさせられました。とても熱のある演技に引き込まれました。(50代女性)


・場面、時間が川を流れる水のように変わるのに、観ている私達もすんなりとその流れに乗れる、素晴らしく不思議な空間であっという間に過ぎる時間を過ごさせて頂きました。高校、短大の学生時代、皆様の作品にぐいと心をつかまれたのが、早30年程前の話となり、今日は、当時の自分の感受性に再会するかのような気持ちで足を運ばせて頂きました。素敵な時間をありがとうございました。(50代女性)


・人生は何度でもやり直せる。そういう風に感じられました。(40代女性)


・劇中劇と抱月が同時進行で進んでいく展開がとっても重厚で、引き込まれてしまいました。(30代女性)


・約10年ぶりの「新・復活」でした。どちらも「原作を読む会」に参加し、前回も大正時代の文章に苦戦したことを思い出しました。「復活」の話そのものの、ロシアと島村抱月演出の「復活」の稽古風景の日本という2つの時間軸を楽しみました。(女性)


・「復活」って本当に身につまされる(以上の)物語だと再度思いました。大作。ですね。60代男性)


・古木さん、森下さん、キンダースペースにはこんなに素晴らしい俳優さんがいらっしゃるのが嬉しいです。他の俳優さんも一言一言が説得力があり、深いです。後半は涙で拝見しました。何年か前の復活も観劇しましたが、今回のがリアルで比べようが無いと思います。(60代女性)


・とても感動した。ロシア文学は大好きだが、ロシアの社会を背景にした愛の物語は今にも通じると思った。演出にしびれた。人物移動の画力はすさまじかった。美術もすごかった。最後の木が出てくる演出に救いを感じた(映画「サクリファイス」を思い出した)20代男性)


・現実と劇中劇が絶妙に交錯して、見応えのある2時間30分でした。女看守の役の方がキリッとしていてセリフもよく聞こえてステキでした!!(女性)


・最後もう少し見たかったです。人間の本心って難しいしすごいなと思いました。
























































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